原作:瀬戸内寂聴、監督:熊切和嘉、主演:満島ひかりの「夏の終り」を観てきました。
瀬戸内寂聴の小説は、過去に一度だけ、母親が読んでいたのを借りて読みました。それは大杉栄と伊藤野枝が主人公の「美は乱調にあり」(1966年)でした。「夏の終り」はそれより前の1963年の作品、この作品で「女流文学賞」を受賞しています。ウィキペデイアによると、「慎吾」は前衛小説家、小田仁二郎(おだ じんじろう)。「涼太」は3歳年下の実業家、と註釈がありました。
熊切和嘉監督の作品は、何度か芥川賞候補作に取り上げられた佐藤泰志の原作による「海炭市叙景」と、坂井真紀の「ノン子36歳(家事手伝い)」を観ました。 また、満島ひかりの作品は、園子温監督の「愛のむきだし」に始まり、石井裕也監督の「川の底からこんにちは」、そして安藤モモ子脚本・監督の「カケラ」を観ました。 満島の夫は監督の石井裕也です。
瀬戸内寂聴は言う。40歳の時に書いた私の小説「夏の終り」は、自分の作品の中で最も好きなものである。これを越す小説を書きたいと思いつづけ、90歳を越えてしまった。ふたりの男の間で揺れ動く、ひとりの女の愛の迷いは半世紀を経ても色あせない。度々映画やテレビドラマにされたが、今回の映画は原作にもっとも近く、作者としては生々しさに圧倒され肌に粟を生じて見た、と。
慎吾は妻子ある年上の作家、涼太は一途な愛を求める年下の男です。年上の男・慎吾を演じるのは小林薫、年下の男・涼太を演じるのは綾野剛です。主人公は夫と子どもを捨てた、とあります。ウィキペディアに寂聴の略歴をみると、東京女子大学在学中に結婚し、夫の任地北京に同行。1946年に帰国し、夫の教え子と恋に落ち、夫と長女を残し家を出て京都で生活。・・・1950年に正式な離婚をし、東京へ行き本格的に小説家を目指し、とあります。まさに瀬戸内寂聴の自伝です。
妻子ある年上の作家・慎吾との生活の満足していた知子でしたが、突然涼太が現れたことで、知子の生活が微妙に狂い始めます。涼太は昔、知子が結婚していた頃、どうしようもなく恋に落ち、夫と子どもを捨てて駆け落ちした男でした。知子は慎吾との生活を続けながら、涼太と再び関係を持ってしまいます。涼太の知子を求める情熱はやがて、知子の本当の気持ちを揺さぶり起こしていきます。
以下、とりあえず「シネマトゥデイ」より引用しておきます。
チェック:作家、尼僧として活躍する瀬戸内寂聴が自身の体験を基につづったロングセラー小説を、『海炭市叙景』などの熊切和嘉監督が映画化。妻子がいながら不倫を続ける年上の男性作家、昔関係のあった女性にさまざまな感情が芽生え苦しむ年下の男、その二人の間で揺れ動く女性が織り成す三角関係を描く。自らのうちに潜む女の業に苦悩しながらも自分なりの愛を追い求めるヒロインを、満島ひかりが熱演。相手役をベテラン小林薫と綾野剛が務める。
ストーリー:結婚して子どももいる年上の作家・慎吾(小林薫)と長きにわたって一緒に生活している知子(満島ひかり)は、慎吾が妻と知子の間を行き来する生活に不満もなく、妻と離婚してほしいと思ったこともなかった。そんなある日、かつて彼女が家庭を捨てて駆け落ちした相手の涼太(綾野剛)と再会。それ以来知子の心は揺らぎはじめ、慎吾との関係を継続させつつも涼太と以前のような関係に戻ってしまい……。
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