ポーラミュージアムアネックスでミヤケマイ「白粉花(おしろいばな) Little Lily-White Lie」を観てきました。ミヤケマイについては、まったく何も知りません。チラシには、「日本に伝統的な美意識に根ざし、独自な世界を展開する気鋭の若手アーティスト」とあり、「古典の物語や古くからの慣習などを題材に、ユーモラスに時にシニカルに再構築する作品」とあります。
まず、真っ先に眼に入るのは、「天は自ら助くるものを助ける」という作品です。辞書には「天は自ら助くる者を助くとは、人に頼らず自分自身で努力する者には、天が助け、幸福をもたらすということ」とあります。壁から白い陶器製の手が何本も突き出ているもので、その手にはさまざまな物を持っています。その白い手は心なしか小さい、女性の手なのでしょう。千手観音のようでもあります。この手は全部で40本、そして鑑賞者の手が2本はいると42本になるようです。この作品が何を意味しているのか、僕には分かりませんが、しかし面白いことは間違いなしです。
そして、ミヤケマイの作品は軸装されたものが多い。もちろん、軸装しただけでは「古典の物語や古くからの慣習などを題材に」したとは言えませんが、その他に「フォーカル・ポイント」と題したハニカム構造体を使った作品群、そして茶室をモチーフにしたインスタレーション作品など、約20点が展示されていました。
「『白粉花』Little Lily-White Lie」
ポーラミュージアムアネックスでは、日本の伝統的な美意識に根ざし、独自な世界を展開する気鋭の若手アーティスト、ミヤケマイ氏の展覧会「『白粉花』Little Lily-White Lie」を開催します。古典の物語や古くからの慣習などを題材に、ユーモラスに時にシニカルに再構築するミヤケ氏の作品は、思わず人が見落としてしまいそうな、たくさんの情報が込められています。作品のなかの不思議な登場人物や魅力的な動物に目を留めた時、その先にある何かを見ることができるような気がします。その戦災でリリカル、かつ独創的な作品は、現代アート好きの若い女性から日本画、骨董好きのコレクターまで、幅広く人気を集めています。今回、ミヤケ氏が絶えず探求し続ける永遠の色である「白」をテーマに、国内未発表の大型軸装の平面作品や新作ホログラフィックを組み込んだ作品を展示します。作品を通じて「白」の持つ可能性を感じていただける展覧会です。――ポーラミュージアムアネックス
生まれ落ちた時、私達は真っ白なまま世に出て来る。そしてこの世を去るときも記憶も消去され、真っ白な骨や灰になって出て行く。その間、炭に近づけば黒し、朱に交われば赤くなり、青は藍より出でて藍より青くもなる。色とは光の産む幻想にすぎない。色は思案の外とは良く言ったもの。色白は七難隠すというがその七難とはなんなのであろう。――ミヤケマイ
ミヤケマイ:略歴
日本独自の感覚に立脚しながら、物事の本質を問う作品を展開。画廊や美術館、アートフェアでの展示、エルメスなど企業とのコラボレーションなど活動は多岐にわたる。2008年奨学金を得て、パリ国立美術大学大学院に留学。最新作品集「膜迷路」(羽鳥書展2012年)、「おやすみなさい。良い夢を」(講談社)2011年に上梓。
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