「ディアナと妖精たち」、「デルフトの眺望」、「真珠の耳飾りの少女」、フェルメールが描いた3点の絵画は、マウリッツハウスを訪れる多くの人々の最大の楽しみです。「あの少女の絵のためだけに」デン・ハーグまで旅した人も数えきれないほどいます。僕もその中の一人です。
今朝の朝日新聞朝刊(2013年6月12日)文化欄に、昨年東京都美術館で開催された「マウリッツハイス美術館展」の1日平均来場者数が昨年の展覧会で世界最多を記録した、というニュースが載っていました。なぜ日本で受けたのか。フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」が目玉だったが、レンブラントの「自画像」やルーベンスの「聖母被昇天」などオランダ・フランドル絵画48点も展示されたこと。特にオランダ絵画の場合、細部にこだわる精巧さが日本人好みで、聖書などの背景知識がなくても分かりやすいテーマが多く、絵も小さく親しみやすいことも理由に挙げています。
昨年4月に王立マウリッツハイス美術館を訪れたときに、「王立絵画陳列室 マウリッツハウス」というガイドブックと、「マウリッツハウスにて フェルメール」という、2冊の本を購入してきました。「マウリッツハウスにて フェルメール」は、上にあるように印象的な表紙の、70ページほどの四角い本です。この本、数あるフェルメール本がある中でもなかなかの優れもので、朽木ゆり子が「この本があったらよかったのになあ」と言うほど、興味深い切り口でフェルメールの作品を解説しています。フェルメール解説本の極めつきです。
朽木ゆり子と福岡伸一による「深読みフェルメール」(朝日新書:2012年7月30日第1刷発行)という対談本の最初に、朽木は次のように語っています。
マウリッツハイス美術館の売店で「マウリッツハイスにて フェルメール」という日本語の本を買ってきましたが、それにも堂々と「トローニーとは何か」という解説が書かれています。この本の発売は2006年。「盗まれたフェルメール」を書いていたときにこの本があったらよかったのになあ、と思いましたね。
「マウリッツハイスにて フェルメール」は、特に目次というものがないので、項目の羅列を以下にあげておきます。
デルフトのスフィンクス→
繁栄する都市/生計を立てる/(フェルメール年譜)/フェルメール芸術の四段階/インスピレーション/絵画に対する認識/見本/フェルメールのパトロン/フェルメールのアトリエ訪問客/限定された鑑賞者/国際的名声
マウリッツハウスにて→
初期のフェルメール/オランダのディアナ/「到達し得る最高の段階」/プルシアンブルーノ空/フェルメールの街景画/方位確認/正確に再現されているか?/船/登場人物/鐘はどこへ?/砂の粒、斑点、カメラオブスクラについて/デルフト、今、昔/心ならずもマウリッツハウスへ/マルセル・プルースト、「デルフト」と失われた時/真珠の耳飾りの少女/「トルコ風の装い」のトローニー/比較/真珠/お買い得/オランダのモナリザ
作品資料、重要参考文献
東京都美術館で開催された「マウリッツハイス美術館展」に関連する書籍を、以下に載せておきます。
展覧会図録
編集:
マウリッツハイス美術館
東京都美術館
神戸市立博物館
朝日新聞社
発行:朝日新聞社
「マウリッツハイス美術館展」
公式ガイドブック
2012年6月20日発行
編者:朝日新聞出版
ガイドブック
編集:
クエンティン・ビューヴェロット
発行:
ハーグ、王立絵画陳列室マウリッツハウス
ハーグ、マウリッツハウス友の会
©2009
「深読みフェルメール」
朝日新書
2012年7月30日第1刷発行
著者:朽木ゆり子、福岡伸一
発行所:朝日新聞出版
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