「ガス燈」は、ただただイングリット・バーグマン主演ということで観た映画でした。これもいつ頃だったか忘れてしまいましたが、テレビで放映されていたのを録画しておいた作品です。内容はまったく分からずに、「ガス燈」という題名にひかれました。30数年前、設計事務所を設立して最初に設計した住宅の仕事で、音楽家のご主人が玄関燈としてガス燈を使いたいというので、八方手を尽くして調べたことがありました。結局いろいろな事情で、その話は立ち消えになりましたが・・・。
イングリッド・バーグマン(1915年8月29日 - 1982年8月29日)は、ハリウッドで活躍したスウェーデン出身の女優です。モロッコのカサブランカを舞台に、ハンフリー・ボガードと共演した1942年の「カサブランカ」で一躍スターになり、1944年の「ガス燈」でアカデミー主演女優賞を獲得しました。2本とも、60年以上も前の作品ですから驚きです。知性を感じさせる美貌と情熱的な演技で人気を博します。グレース・ケリーと共に、名実ともに20世紀を代表する“クールビューティ”女優のひとりです。監督は「マイ・フェア・レディ」でアカデミー監督賞を受賞したジョージ・キューカーです。
話は最初から「ガス燈」の本筋に入ってしまいますが、この作品の内容から、1970年代後半以降「ガスライティング」が心理的虐待を表す用語として使われるようになったそうです。ストーリーでは、妻が正気を失ったと当人および知人らに信じ込ませようと、夫が周囲の品々に小細工を施し、妻がそれらの変化を指摘すると、夫は彼女の勘違いか記憶違いだと主張してみせます。劇の題名は、夫が屋根裏で探し物をする時に使う、家の薄暗いガス燈に由来します。妻は明かりが薄暗いことにすぐ気づくのですが、夫は彼女の思い違いだと言い張るのでした。(「ウィキペディア」より)
霧の深いロンドンで街中にはガス燈がともる1870年の話です。オールクィスト家で起こった歌手アリス・オールクィスト嬢殺人事件は、まだ犯人は見つかっていません。アリスの姪ポーラはイタリア留学中にでピアノ奏者のグレゴリー・アストンと恋に落ち結婚しました。自分はあまり気が進まなかったのですが、夫の言うままに、殺人事件があった家で新婚生活を営むことになりました。ある日、ハンドバックに入れたはずの首飾りが紛失して以来、グレゴリーはポーラが自分のしたことを記憶していないと言って、ポーラを責め立てます。そして夫は、ポーラも精神病で死んだ彼女の母親と同じように、精神病で死ぬだろうとまで言うのでした。
ポーラは、夫の言ったことを気にしながら、一人、不安な日を送っていました。そして次第に自分の精神状態に自信を失い、夜ごとに薄暗くなるガス燈の光も、天井から聞こえる奇怪な物音も、自分の精神が衰えている為かと、焦燥にかられました。ある日、久し振りに夫と出かけた知人宅で、時計を隠したと言って夫から辱められ、彼女は耐え難い悲しみに襲われます。その様子を注視していた若い男がありました。夫と共に出かけたロンドン塔で、知らない男に会釈され、なぜかポーラは笑顔で返します。夫は展示してあったダイヤモンドに目が行ってますが。彼はブライアン・カメロンというロンドン警視庁の警部で、かつて名歌手アリスのファンで、可愛がってもらっていたこともあり、アリスの殺人事件に大きな関心を持っていました。
彼はある夜、グレゴリーの外出中、家人の制止も聞かずポーラに会い、彼女の叔母の事件について、ポーラに語って聞かせます。そして、彼女は精神に異常を来しているのではなく、夫の策略に過ぎないこと、夜ごとに暗くなるガス燈の光も、夫が閉鎖された屋根裏の部屋にいるためだ、と説明します。ブライアンがグレゴリーの机を開けてみると、彼女が隠したと夫から責められていた品物の数々が出てきました。20年前の殺人事件に、グレゴリーがかかわっていたとされる手紙も見つかりました。そこへグレゴリーが帰ってきます。ブライアンと言い争いになり、椅子の縛り付けられます。ポーラに助けを求めますが、ポーラは今までの経緯もあり、「精神異常だからできない」と、グレゴリーに冷たく答えます。自信喪失になりかけていたポーラは、自分を取り戻します。グレゴリーは、警官に引き立てられていきます。