宮下規久朗の「欲望の美術史」(光文社新書:2013年5月20日初版第1刷発行)を読みました。今、本棚を見たら、宮下規久朗の本で、ブログに書いていないものがありました。
「裏側からみた美術史」(日経プレミアシリーズ:2010年10月8日1刷)
「不朽の名画を読み解く 見ておきたい西洋絵画70選」(ナツメ社:2010年8月1日初版発行)
「欲望の美術史」は、2011年5月から現在まで、産経新聞夕刊(近畿地方限定)に連載している「欲望の美術史」の記事を全面的に加筆修正し、図版を増やし、新たな放しを書き下ろして加えたものである、と「あとがきにあります」。
宮下規久朗といえば、僕の中ではやはり最初に読んだ「刺青とヌードの美術史 江戸から近代へ」(NHKブックス:2008年4月25日第1刷発行)が、強烈に印象に残っています。「欲望の美術史」も、美術史の裏面や暗部を扱っており、美術にまつわる「欲望」に焦点を合わせて論じてみた、と述べているが、ヌード、刺青、ムカサリ絵馬、エクス・ヴォート、戦争記録画など、宮下の偏愛する特殊なテーマが語られている点は、いつも同じです。
本のカバーには、以下のようにあります。
本書は、美術を生み出し、求めるときの様々な欲望に光を当て、美術というものをいろいろな観点から眺めたエッセイ集である。扱った作品は、世界的な名作から、通常は美術とは目されない特殊なものまで様々だが、いずれも美術史上の重要な問題につながると思っている 。(「まえがき」より) あらゆる人間の営みは欲望によって成り立っている。美術といえども例外ではない。 美術は、人間の様々な欲望を映し出す鏡でもある。「欲望とモラル」「美術の原点」「自己と他者」「信仰、破壊、創造」という四つの観点から、「美が生まれる瞬間」を探る。
目次
まえがき
第一章 欲望とモラル
第二章 美術の原点
第三章 自己と他者
第四章 信仰、破壊、創造
あとがき
宮下規久朗:著者略歴
1963年愛知県生まれ。美術史家、神戸大学大学院人文学研究科准教授。東京大学文学部卒業、同大学院修了。『カラヴァッジョ――聖性とヴィジョン』(名古屋大学出版会)でサントリー学芸賞などを受賞。他の著書に、『食べる西洋美術史』『ウォーホルの芸術』(以上、光文社新書)、『カラヴァッジョへの旅』(角川選書)、『刺青とヌードの美術史』(NHKブックス)、『裏側からみた美術史』(日経プレミアシリーズ)『フェルメールの光とラ・トゥールの焔』(小学館>ビジュアル新書)など多数。
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