何年か前にテレビで放映されたものをたまたま録画してあったので、1963年のアメリカ映画「野のユリ」を初めて観ました。「野のユリ」はく宗教的な映画ではないかと勝手に思い、なんとなく暗い印象だったので、今まで観ることがありませんでした。1967年の黒人青年と白人女性の結婚を巡る双方の家族の葛藤を描く「招かざる客」、これは映画館で観ましたが、この辺りが僕の洋画の見始めだったと思います。
「野のユリ」(原題:Lilies of the Field)は、ウィリアム・エドマンド・バレットの1962年の小説「Lilies of the Field」を原作とする1963年公開のアメリカ合衆国の映画。主演のシドニー・ポワチエが黒人俳優として初のアカデミー主演男優賞を受賞しています。「白人が理想視する黒人を演じている」とする反感もあったようです。アカデミー賞を受賞する作品は、そのときのアメリカの国情や、世相を反映しているものが受賞する傾向があり、「野のユリ」の受賞は、ベトナム戦争や人種差別の反対運動が盛んだった60年代が背景だったからこそともいえます。僕が中学、高校の頃までは、アメリカでは白人と黒人は同じバスに乗れなかった時代でした。
監督はラルフ・ネルソン、低予算なので、自ら建設会社の社長の役を演じています。アリゾナを舞台に、気楽な旅を続けている気のいい黒人青年ホーマーと、荒地に教会を建てようとしている東ドイツから亡命して来た修道女たちの交流を描いたものです。修道女の方が意地悪で無茶苦茶の自分勝手、ホーマーの方が我慢強く真面目に働くという逆転現象も。ラストは「エンド」で終わるのではなく、「エイメン」の文字で終わります。政治的な意味合いはこの映画にはまったくなく、ほのぼのとしたよき日のアメリカ、といった感じです。
偶然、米国映画協会(AFI)で生涯功労賞を受賞したポワチエに、ハリー・ベラフォンテがお祝いに「エイメン」を歌う感動的なシーンをユーチューブで観ました。会場にはもちろんシドニー・ポアチエが、そしてモーガン・フリーマンの顔もありました。その後、このユーチューブ、探しても見つかりません
さて、タイトルの「野のユリ」について。
イエスは、マタイ6章28-30節で次のように言われました。
「また、なぜ、着物のことで思いわずらうのか。野の花がどうして育っているか、考えて見るがよい。働きもせず、紡ぎもしない。しかし、あなたがたに言うが、栄華をきわめた時のソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。きょうは生えていて、あすは炉に投げ入れられる野の草でさえ、神はこのように装って下さるのなら、あなたがたに、それ以上よくしてくださらないはずがあろうか。ああ、信仰の薄い者たちよ。」
(「我孫子バプテスト教会 霊想」より)
「エイメン」(黒人霊歌)の歌詞:映画の字幕より
普通はアーメンですが、ここでは黒人英語で「エイメン」。
(英語がほとんどできない僕が、初めてこの歌の意味を知りました)
(「エイメン エイメン」の合唱が流れる中で:)
幼子を見よ
飼い葉おけの中
クリスマスの朝
イエスが神殿へ
長老たちと語り
知恵を授ける
ヨルダン川で
ヨハネが洗礼を施し
罪人たちを救う
湖畔のイエス
漁師に語りかけ
弟子にする
エルサレムに入場
シュロの枝の上
堂々と歩く
ゲッセマネの園で
神に祈る
苦悩に沈んで
ピラトの手に渡され
十字架に
そして復活
エイメン ハレルヤ
われらの救世主
永遠の命
エイメン ハレルヤ
われらの救世主
永遠に生きる
エイメン エイメン