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三菱一号館美術館で「奇跡のクラーク・コレクション」を観た!

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三菱一号館美術館で「奇跡のクラーク・コレクション」を観てきました。観に行ったのは3月20日、春分の日でした。小部屋の展示室がほとんどの三菱一号館美術館、やはり祝日ということもあってか、思った以上に混んでいました。2011年に始まった巡回展は、すでにイタリア、フランス、スペイン、アメリカ、イギリス、カナダで開催され、入場者数は100万人を超えたという。


三菱一号館美術館館長の高橋明也は、以下の諸条件に満たされている場合、それは真にそうしたコレクション展を構成する作品の質が高度なこと、そのコレクションに触れる機会が享受者にかなり限定されていること、そしてコレクションそのものの強い特徴とコレクターの個性が強烈に浮かび上がるような作品選択が成されていることを挙げて、「コレクション展」としての展覧会が成り立つとしています。そして「奇跡のクラーク・コレクション ルノワールとフランス絵画の傑作」は、見事にそうした条件に合致した展覧会であると語っています。


さて、「奇跡のクラーク・コレクション ルノワールとフランス絵画の傑作」というタイトル、なにが「奇跡」なのか?それは以下の三つです。

①極めて貴重なコレクションが日本に来る奇跡

 クラーク美術館の増改築工事によって日本初上陸!

②クラーク夫妻がひときわ質の高い作品を収集できた奇跡

 大富豪夫妻の優れた審美眼によって集められた宝石箱のような作品群!

③日本人が貴重なコレクションを眼にしていない奇跡

 日本からはるか遠くのクラーク美術館でしか見ることができなかったコレクション!


そしてなんと、22点のルノワールを筆頭に、コロー、ミレー、マネ、ピサロ、モネなど、日本初出品を含む、フランス絵画73点に出会えるという奇跡、これはすごいことです。主役はルノワール、これほど多くのルノワール作品と出会えるとは!そして、そのまわりを固める脇役たち、この脇役たちがすごい、いや世が世ならそれぞれが主役を張れる画家たちですが、今回は脇役に回っています。Bunkamuraで開催すれば、まさに「ルノワールとその時代展」です。スターリング・クラークがルノワールの収集を始めたのはいつ頃か、図録に興味深い文章があったので、以下に載せておきます。



1929年アメリカの株式市場の大暴落で始まった世界恐慌も、クラークの美術品収集の愉しみを縮小させることはなかった。不況で美術品の価格が暴落すると、それに乗じてクラークは購入のペースを一気に加速させた。多くの収集家が不況で損失を出し、コレクションを売却して現金化したために、美術市場には質の高い作品が安い価格で数多く出回った。・・・クラークがルノワールを熱心に集め始めたのは、まさにこの時期であった。ルノワール作品の収集は1910年代に始まり、「劇場の桟敷席(音楽会にて)」や「眠る少女」のような主要作品を入手していたが、1930年から40年には20点以上購入している。作品の下図よりも驚くべきことは、一貫した質の高さであろう。「縫い物をするマリー=テレーズ・デュラン=リュエル」の大胆華麗な筆づかいから、1875年頃の「自画像」の硬質な緊張感まで、それぞれの作品は画家の技量のさえを示す郭公の例である。1930年代以降ルノワールは間違いなくクラークのお気に入りの画家となった。

(図録「蒐集家としてのスターリング・クラーク」より)









「奇跡のクラーク・コレクション―ルノワールとフランス絵画の傑作」

クラーク美術館は、印象派の油彩画をはじめとする19世紀欧米の美術、工芸、写真など、幅広いコレクションを擁する美術館です。ボストンから車で約3時間。広大な森の中にあるこの美術館のコレクションについて、これまで日本ではほとんど知られていませんでした。2011年、同美術館の増築工事に伴い、世界的にもとりわけ質の高い印象派を中心とした絵画の世界巡回展が開催され、2013年2月、ついに日本に初上陸します。ルノワール22点を筆頭に、コロー、ミレー、マネ、ピサロ、モネ・・・、まるで宝石箱のような、これまで目にしたことのない奇跡のフランス絵画73点が一堂に。三菱一号館美術館で「人生を、美しく生きる幸せ」に出会える幸運にどうぞご期待ください。

「三菱一号館美術館」ホームページ


とんとん・にっき-kura1 「奇跡のクラーク・コレクション」
ルノワールとフランス絵画の傑作

編集:

三菱一号館美術館

兵庫県立美術館

読売新聞東京本社
監修:

吉川節子(武蔵大学)

発行:

読売新聞東京本社




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