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ギャラリーエークワッドで「数寄屋大工―美を創造する匠―」を観た!

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ギャラリーエークワッドで竹中大工道具館巡回展「数寄屋大工―美を創造する匠―」を観てきました。主催は公益財団法人竹中大工道具館です。だいぶ前、25年ぐらい前のことでしょうか、神戸にある竹中大工道具館を訪れたことがあります。まさに大工道具類、ノミやカンナやノコギリなどが大量に展示してありました。神戸には建築をやっている大学時代の友人がいて、阪神大震災の前までは、神戸まで遊びに行っては飲んで歩いていました。安藤忠雄の初期の作品、ローズ・ガーデンのある北野界隈とか、六甲のOLD/NEWとか、を彼の車で案内されて観て回ったりしました。竹中大工道具館へは、自分一人で行ったような記憶があります。


今年の6月頃、「藤森輝信の茶室学 日本の極小空間の謎」を読みました。藤森は「私が茶室を手がけ始めたとき、それは実に消極的なスタートだった」と語っています。この本はなかなか刺激的で、面白い本でした。そのとき、僕自身の茶室に関する思い出を、ちょっとだけこのブログに書きました。それが、以下の文章です。


昭和40年代の初め頃でしたが、清家清の「斎藤助教授の家」を施工した大工の棟梁が、中野に建てた茶室の図面を、僕はその棟梁の言われるままに書いたことがありました。茶室といっても8帖と水屋はあったと思います。たしか三菱銀行の役員の病弱の奥さんのための独立した住居として建てたものでした。その頃は建築の設計がどんな仕事なのかまったく右も左も分からず、もちろんその茶室に関しても同じでしたが、ただひたすら言われるままに図面を書いていました。そんな思い出が蘇ってきました。


また、事務所に勤めている頃は、竹中とのつき合いもそれなりにありました。和室は竹中の数寄屋大工に作ってもらうこともしばしばあり、木場まで銘木を見に何度か行ったこともありました。さすがに、第3章に出てくる中村外二、平田雅哉、水澤文次郎など、名だたる棟梁とのつき合いは僕の場合、残念ながらありませんでした。


「数寄屋」といえば、関西では村野藤吾、関東では吉田五十八です。村野は数寄屋は関西の大工の棟梁に教わったと自分で言ってました。茶色い和紙の箱入りの井上靖がまえがきを書いていた「村野藤吾和風建築集」(新建築社)のあとがきに、その極意が書いてありましたが、手放してしまい手元にありません。ホテルの茶室は村野の独壇場でした。吉田の場合は京都の棟梁に学び、新興数寄屋と呼ばれ、基本的には大壁でした。一方、吉村順三はレーモンド仕込みで、比較的カチッとした和室を作りました。吉田五十八と吉村順三は共に東京藝大で教えていたプロフェッサー・アーキテクトで、教えを受けた学生たちもはっきりと毛色が二分されていました。


展覧会の構成は、以下の通りです。

第1章 数寄屋解体新書

     数寄屋建築のつくり方

第2章 数寄のディテール

     繊細なるテクノロジー

第3章 数寄屋大工列伝

     名工が残したもの




第1章 数寄屋解体新書~数寄屋建築のつくり方~

繊細で華奢なつくりの数寄屋建築には一体どのような工夫が隠されているのでしょうか。本展覧会のために特別に製作した実物大の茶室構造模型、あるいは各種の部分模型を通して、数寄屋大工の技を解説します。

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第2章 数寄のディテール~繊細なるテクノロジー~

数寄屋の細部意匠には、選りすぐられた素材、それらを選別する棟梁の美意識、あるいは材料を丁寧かつ微細に加工する職人技など、日本の匠の技と知恵が集約されています。ここでは銘木、建具、表具、畳などについて、その素材と製作技術を紹介します。

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第3章 数寄屋大工列伝~名工が残したもの~

明治から昭和にかけて活躍した名工の作品・遺品を紹介します。取り上げるのは木村清兵衛、笛吹嘉一郎、中村外二、平田雅哉、水澤文次郎など名だたる棟梁たちです。図書や建築作品でその名を知っていても、棟梁の精神を感じ取ることが出来る実物資料を目にする機会はほとんどありません。今回の展示は、それらに触れることができる特別な機会となります。

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「数寄屋大工―美を創造する匠―」

近年「和」の建築デザインが注目を集めています。なかでも伝統の数寄屋建築は憧れの的ですが、敷居が高く難解という印象も強いのではないでしょうか。本展覧会では数寄屋建築の様々な要素を解体して、職人たちがどこにこだわり上質を追求しているのかを、数寄屋大工の視点を通して解説します。実物大の茶室構造模型をはじめとして、木組み模型、銘木、土壁、建具など職人がつくった美しく繊細な制作物、あるいは名工が用いた道具や図面など約150点の資料を紹介します。


「ギャラリーエークワット」ホームページ


とんとん・にっき-take2 竹中大工道具館巡回展

「数寄屋大工―美を創造する匠―」
展覧会図録とんとん・にっき-take1

編集・発行:公益財団法人竹中道具館

発行日:2012年8月20日









財団法人竹中大工道具館

リーフレット(展示概要)

神戸市中央区中山手通4-18-25














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