2011年3月19日(土)9時からBS朝日で放映された映画、サタデーシアター「マイ・ブラザー」(2005年)が録画してあったので、1年半ぶりに観ました。
「マイ・ブラザー」の始まりは、こうです。
優しい女がいた。そして写真が趣味の男がいた。2人は愛しあって結婚し、子供が生まれた。でも子供の顔を見て誰も喜ばなかった。女は教会通いをやめた。男は趣味の写真をやめた。男は道端に子供を捨てた。女は子供を連れ戻した。その日以来、男は病にかかり死んでしまった。その時女は子供を宿していた。女は決心した。純粋に生きるのはやめようと、気丈な心で、立派な子供を育てると。そして翌年、僕が生まれた。
子どもの頃はいつも側にいて、喧嘩もしたし、疎ましく思ったこともあります。しかし兄弟の間には、目には見えない絆がありました。たとえそれが、反目することでしか確かめられないものであったとしても。父が死んでから母は、母と兄弟、3人の家族写真を写真館で撮ります。真ん中の兄だけが正面を見ないで、顔を背けた写真が残っています。母の仕事は、皆が忌み嫌う貸金業です。母のあだ名は「金の鬼」、貸した金は腕ずくでも取り立てます。がむしゃらに稼いだ金は、ソンヒョンの手術代に。ソンヒョンが唇を指さして、傷が消えるかと聞くと、その傷は神様がくれた天使の印なんだよ、と答えます。
1990年代後半。男子高校の同じクラスに、年子のキム兄弟が在学中。弟ジョンヒョン(ウォンビン)は、ハンサムな顔で喧嘩も強いが、しかし勉強はできない。兄ソンヒョン(シン・ハギュン)は、人がよくて明るく、勉強もできる。母親は、口唇口蓋裂で生まれた兄だけを、幼い時から偏愛してきました。兎口でうまく言葉で伝えられないこともあり、詩や文章に才能を発揮します。兄に嫉妬して、ますます弟は粗暴になり、喧嘩に明け暮れる毎日です。
バスで通学の時に、女子校生ミリョン(イ・ボヨン)見かけて、兄弟が同時に一目惚れしてしまいます。不良グループのリーダーであるオスクは、「ミリョンは俺のオンナだ!」と言いがかりをつけ、ジョンヒョンと喧嘩が始まります。ジョンヒョンが負けそうになると、おとなしいソンヒョンがオスクに飛びかかり、相手をやっつけてしまいます。喧嘩には勝ったものの、母(キム・ヘスク〉が学校へ呼び出されます。ひたすら頭を下げる母、帰り道、「一人が殴られたら、二人で殴り返しなさい。それが兄弟というものよ」と2人に言います。
ソンヒョンのノートを盗み見したジョンヒョン、「四つ葉のクローバー」というタイトルの詩と、ミリョンの似顔絵が描かれているのを見て、兄もミリョンに想いを寄せていたことを知ります。詩の発表会でジョンヒョンは、ソンヒョンの「四つ葉のクローバー」を朗読し、ミリョンとつき合い始めます。海辺で2人がキスしているのを、偶然通りかかったソンヒョンが目撃します。しかし、兄の詩を利用したことで後ろめたくなったジョンヒョンは、ミリョンとは疎遠になってしまいます。
ソンヒョンは、ソウル大学医学部に合格します。母は医者の母が金貸しじゃいけないと、食堂を始めるために店を借ります。医者の弟が遊んでいてはいけないと、ジョンヒョンは浪人生として予備校に通わされます。なんと母が支払った金は、不動産屋が持ち逃げしてしまいます。怒り狂ったジョンヒョンは怒鳴り込むが、失った金は戻ってきません。ジョンヒョンは、ミリョンの兄ヨンチュン(チョン・ホビン)の事務所へ行き、借金の取り立て屋を始めます。ミリョンの兄はヤクザ者でした。
一時帰郷したソンヒョンは、ジョンヒョンがヤクザな取り立て屋をしていることを知り、兄弟は激しく対立します。家の前で2人が言い争いをしていると、母が出てきて、そんな子供に育てた覚えはない、父親がいないのが不満かと2人に言います。
ますます取り立て屋として深みにはまっていくジョンヒョンは、幼なじみのドゥシクの母親が営む店を滅茶苦茶にしてしまいます。ますます虚しくなっていくジョンヒョン。ヨンチュンに借りた金は返すから、取り立て屋を辞めさせてくれるように頼みます。ジョンヒョンが一人で屋台で飲んでいると、通りかかったソンヒョンが前に座り、いろいろと話をします。
お前は俺から見ればすべてを手に入れたとジョンヒョンは言います。俺とお前が溺れたらお袋はどっちを助けるか、と聞きます。おふくろのパンツの値段を知ってるか。2枚千ウォンで売ってるヤツ。節約の理由は?手術しても変わらないから、母さんの歯を治せばよかったのに。母さんが“お前は夫で、僕は息子だ”って。だけどお前も僕も母さんに面倒かけたよな、とソンヒョン。屋台の店員が乾杯する2人を笑顔で見守ります。別れ際に、ソンヒョンはジョンヒョンに「一回でいいから、“兄さん”と呼んでくれ」と言います。
明日ソンヒョンがソウルに戻るという日、母の鎮痛剤を買いに出たソンヒョン、雨が降ってきたので傘を持って迎えに行くジョンヒョン・・・。つけ狙っていたヨンチュンは、家から出てきたジョンヒョンを半殺しになるまで殴り、立ち去ります。一方、土砂降りの雨のためにバーバリーのコートを頭まですっぽり被り、家に帰ろうとするソンヒョンは、ジョンヒョンと間違えられて、ドゥシクにブロックで殴り殺されてしまいます。あまりにも理不尽な結末です。
半狂乱でソンヒョンの衣服を庭で燃やそうとしていると、ソンヒョンから手紙を添えた薔薇の花束が届きます。この手紙が泣かせます。現像に出していた写真を取りに行ったジョンヒョン、「誰が撮ったの」と聞かれ、「僕の兄さんが・・・」と泣きながら答えます。店を出たジョンヒョンは、眩しそうに晴れた空を見上げます。「兄さんのように世界を愛せるだろうか?自信ないけど頑張るよ。兄さんにふさわしい弟になるために」。
以下、とりあえずシネマトゥデイより引用しておきます。
チェック:本国韓国で大ヒットしたウォンビンとシン・ハギュン共演のヒューマンドラマ。メガフォンをとるのは、本作で本格的な劇場映画デビューを飾るアン・クォンテ監督。音楽は『猟奇的な彼女』のキム・ヒョンソク。兄弟の絆を描いた心にしみる感動作。
ストーリー:けんかに強く、おもしろく、タフガイの弟ジョンヒョン(ウォンビン)と、限りなく多情多感で内気の兄ソンヒョン(シン・ハギュン)は一番親しい友達であると同時に永遠の宿敵だった。大人になった2人はそれぞれの道を歩み始めるが……。
「マイ・ブラザー」理解のために