佐伯一麦の「ミチノオク」(新潮社:2024年6月25日発行)を読みました。
故郷東北を再発見する九つの旅で
出会う、人の心のオク
さまざまな禍福の中で、
曲折に満ちた人生を紡ぐ人々。
安穏をセンリツせしめる
静かな命のセンリツを
私小説作家が綴る、
新しい紀行文学。
東北をあらわす「陸奥」の元の意味は「道の奥」であり、芭蕉の「おくのほそ道」もそこから来ている。さらに、「ミチノオク」とカタカナにしてみると、「未知の奥」との意味合いも籠るように感じられる。遠野の「オシラサマ」をはじめとする東北の事物も、カタカナによる伝承の意味合いがあると思え、還暦の前後に重ねた東北の旅に誘発された本書の表題もそれに倣った。(佐伯一麦)
目次
西馬音内
貞山掘
飛鳥
大年寺山
黄金山
月山道
苗代島
会津磐梯山
遠野郷
佐伯一麦:
1959年、宮城県仙台市生まれ。仙台第一高校卒。雑誌記者、電気工など様々な職に就きながら、1984年「木を接ぐ」で「海燕」新人文学賞を受賞し、作家デビュー。1990年「ショート・サーキット」で野間文芸新人賞、1991年「ア・ルース・ボーイ」で三島由紀夫賞、1997年「遠き山に日は落ちて」で木山捷平文学賞、2004年「鉄塔家族」で大佛次郎賞、2007年「ノルゲ Nurge」で野間文芸、2014年「還れぬ家」で毎日芸術賞、「渡良瀬」で伊藤整文学賞、2020年「山海記」で芸術選奨文部科学大臣賞を、それぞれ受賞。他に「雛の棲家」「一輪」「木の一族」「石の肺」「ピロティ」「誰かがそれを」「光の闇」「麦主義者の小説論」「空にみずうみ」「アスベストス」など著書多数。
朝日新聞:2024年7月11日
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