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江國香織の「旅ドロップ」を読んだ!

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江國香織の「旅ドロップ」(小学館文庫:2022年10月11日初版第1刷発行)を読みました。

 

エッセイ37篇のほか巻頭に死を三篇収録

 

旅をした場所と空気、食べ物、

そして出会った人々や動物たち――

このエッセイ集は、小さな物語のようだ。

時も場所も超えて、懐かしい思い出に、

はるかな世界に連れ出してくれる。

いきあたりばったりの旅こそ、

私たちの憧れだった。

 

「考えてみれば贅沢で無謀な旅だった。帰る日も決めず(お金の続く限りいようと思っていた)、泊まる場所も決めず(いきあたりばったりの旅こそ私たちの憧れだった)、言葉もできず、でもともかく可能な限りいろいろな乗り物に乗り、可能な限り遠まわりをして、アフリカ大陸に行こうとしていた。(・・・)アフリカ大陸には飛行機ではなく船で渡らないといけない、と、私たちは信じていた。」

忘れられない海外への旅と国内の旅。でも、一冊の本の中にも、初めて入ったデパートの食品売場にだって、旅はある。懐かしい思い出が詰まった極上の一冊。

 

私とその友人は、十三歳のときに女子校で出会った。

どちらも本好きで外国に憧れていて、

ドラマティックのことが好きでおいしいものが好きで、

すぐに意気投合した。

トーマス・クックの時刻表は、私たちの宝物だった。

ひろげて部屋の壁に貼り、

「壁のその部分だけ外国みたいだ」と思っていた。

(本文より)

 

目次

旅ドロップ プロローグ 詩三篇

旅ドロップ1 心が強くなる歌

旅ドロップ2 大分の緑とバードマン

旅ドロップ3 地理の勉強のこと

旅ドロップ4 パリの地下鉄と真理ちゃんの声

旅ドロップ5 バターパンのこと

旅ドロップ6 かわいそうなつばめ

旅ドロップ7 日帰り旅行の距離と時間

旅ドロップ8 最初に行く店のこと

旅ドロップ9 思い出の富士山

旅ドロップ10 平安時代の旅

旅ドロップ11 はみだす空気

旅ドロップ12 逆転現象のこと

旅ドロップ13 死者の家

旅ドロップ14 コーヒータイム

旅ドロップ15 旅先の雨

旅ドロップ16 長崎の夜

旅ドロップ17 決意している

旅ドロップ18 かれいひのこと

旅ドロップ19 スドクのこと

旅ドロップ20 ローマのケニア

旅ドロップ21 みたいなもの

旅ドロップ22 乗り継ぎのこと、あるいはフランクフルトの空港の思い出

旅ドロップ23 ナッシュヴィルのアイスクリーム

旅ドロップ24 三十分間の旅

旅ドロップ25 年中眺めていたかった版画のこと

旅ドロップ26 ポケットから出現するもの

旅ドロップ27 動物たち

旅ドロップ28 がんばれ永明

旅ドロップ29 ロシアの紅茶

旅ドロップ30 ロシアの書道

旅ドロップ31 斜めのコップ

旅ドロップ32 九州@東京

旅ドロップ33 脱臭剤の思い出

旅ドロップ34 F氏からの手紙

旅ドロップ35 にこやか問題

旅ドロップ36 帰る場所のこと

     *

旅ドロップ 番外編 トーマス・クックとドモドッソラ

 

江國香織:

1964年東京生まれ。主な小説作品に、「きらきらひかる」(紫式部文学賞)、「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」(山本周五郎賞)、「号泣する準備はできていた」(直木賞)、「真昼なのに昏い部屋」(中央公論文芸賞)、「犬とハモニカ」(川端康成文学賞)、「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」(谷崎潤一郎賞)などがあり、エッセイ・童話・詩・翻訳などのジャンルでも多くの著書がある。

 

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