井戸川射子の「共に明るい」(講談社:2023年11月7日第1刷発行)を読みました。
井戸川射子の芥川賞候補作「この世の喜びよ」を読んだ時に、「さあ、どうでしょう、芥川賞、遠いと思うんだけどな、僕が思うには」と書きましたが、なんと芥川賞を受賞しました。
ということで、井戸川射子の「共に明るい」は芥川賞受賞第一作になります。
その瞬間、
語られないものたちがあふれ出す。
目に見えない心の内に触れたとき、
「他人」という存在が、
つながりたい「他者」に変容する。
「共に明るい」
早期のバス、女は過去を語り出す。
「野鳥園」
珊瑚の女性と少年が過ごす、
仮初めのひととき。
「素晴らしく幸福で豊かな」
出会って一ヶ月、恋人と過ごす不安定な日常。
「風雨」
暴風雨で足止めをくらった
修学旅行生たちの三日間。
「池の中の」
電池の検品バイトでの会話、
起こる揺れ。
「ここはとても速い川」を調べていたら、第43回野間文芸賞受賞時の選評で、
保坂委員が説明の途中で嗚咽した場面は
野間新人賞の選考の歴史に刻まれよう。――長嶋 有
という記事を見て、さっそく購入手続きをしました。
井戸川射子:
1987年生まれ。関西学院大学社会学部卒業。2018年、第一詩集「する、されるユートピア」を私家版にて発行。19年、同詩集にて第24回中原中也賞を受賞。21年に小説集「ここはとても速い川」で第43回野間文芸新人賞を、22ねんに「この世の喜びよ」で第168回芥川龍之介賞を受賞。他の著作に、詩集「遠景」がある。
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