芝浦工業大学豊洲キャンパス
有元史郎記念校友会館交流プラザ
この度、世界的な建築家である伊東豊雄先生の最初期における活動を紹介する機会に恵まれました。伊東先生が30歳で事務所を開設された時期の作品、「中野本町の家」や「東京遊牧少女の包」の一次資料(アトリエで制作した設計図面やスケッチ)を中心に展示します。その数十年後、伊東先生は「せんだいメディアテーク」などの数多くの作品で、世界中の人々を魅了するに至りました。
いかにしてその偉大な挑戦が始まったのかを感じられる展示をお楽しみください。
芝浦工業大学建築学部長 秋元 孝之
私は1971年に30歳で独立し、小さなアトリエを設立しました。
1970年の大阪万博を境に、70年代の日本社会は60年代の経済成長から一転、右肩下がりの内向的な時代を迎えました。
そんな70年代に設計を始めた私は、スタッフ2~3名と小さな住宅の設計に向き合うほか仕事はなく、外に飲みに行く金銭的余裕すらない苦難の時代を過ごしていました。
当時トレーシングペーパーに手で描いたスケッチや図面には、私の全エネルギーを注いだ建築への情熱が込められています。
このたび私はその時代のスケッチや図面・模型等のほとんどすべてをカナダのCCA(Canadian Centre for Architecture)に寄贈することにしました。
CCAはモントリオールを拠点とする世界でも有数の建築ミュージアム及びリサーチセンターです。
今回芝浦工業大学の御厚意により、これらの図面等をCCAに送る前に同大学で展示させていただくことになりました。
この機会に皆様にぜひ御覧頂きたく御案内申し上げる次第です。
伊東豊雄
会場風景
東京遊牧少女の包(パオ)
中野本町の家に置かれた椅子
中野本町の家
笠間の家
シルバーハット
伊東豊雄略歴
建築家。1941年生まれ。東京大学工学部建築学科卒業。菊竹清訓建築設計事務所勤務後、アーバンロボット設立(後に伊東豊雄建築設計事務所に改称)。主な作品に「せんだいメディアテーク」、「多摩美術大学図書館(八王子キャンパス)」、「みんなの森 ぎふメディアコスモス」、「台中国家歌劇院」(台湾)など。現在、「茨木市文化・子育て複合施設 おにクル」、「2025年日本国際博覧会大催事場」などが進行中。日本建築学会賞、ヴェネチア・ビエンナーレ金獅子賞、王立英国建築家協会(RIBA)ロイヤルゴールドメダル、プリツカー建築賞、UIAゴールドメダルを受賞。
2011年に私塾「伊東建築塾」を設立。これからのまちや建築を考える場として様々な活動を行っている。
「伊東豊雄の挑戦1971-1986」
図録
会期:2023年9月28日~10月29日
会場:芝浦工業大学豊洲キャンパス
有元史郎記念校友会館交流プラザ
主催:芝浦工業大学建築学部
発行日:2023年9月28日
編集:伊東豊雄建築設計事務所
発行:学校法人芝浦工業大学