太田記念美術館で「美人画 麗しきキモノ」(前期)を観てきました。
「美人画 麗しきキモノ」(前期)
最新モードをまとった女性を描く「美人画」は、流行を切り取る浮世絵において重要なジャンルでした。またきものは、当時の美意識を伝えるだけでなく、作品の印象も決定づける大きな要素でもあります。江戸時代には社会の安定や各地の産業推進などを背景に、豊かな服飾文化が花開きました。様々な服飾品や技法、図案が生み出されるなか、浮世絵師たちは時流にかなった魅力的なきものを描くことで、美人画の優品を生み出していったのです。
本展では江戸前期から昭和初期にかけての作品を、前後期あわせて約130点ご紹介いたします。美人画の歴史が通観できることはもちろん、時代とともに変化する流行や着こなし、そして吉祥文様や古来愛された意匠についてもご覧いただきます。それぞれに歴史や物語を持つ模様をまとう女性たちの姿からは、日本文化の豊かさにも触れていただけることでしょう。
本展の見どころ
美人画を一気見! ―名品が続々登場―
およそ250年にわたる浮世絵の美人画をご紹介する本展では、鈴木春信、喜多川歌麿、月岡芳年、伊東深水ら時代を代表する絵師たちの優品も、肉筆画も含めて数多く展示いたします。美麗にして貴重な名品の数々は必見です。どうぞお見逃しなく。
模様をまとう・物語をまとう
きものにはあらゆる模様が表されます。そして一見、変哲のないモチーフであっても、実は吉祥を表していたり、『源氏物語』や『伊勢物語』などの王朝古典をふまえていたり、人気役者ゆかりの意匠であったりします。本展では模様の意味についても掘り下げ、画中の女性たちが模様の美しさだけでなく、それぞれの模様が持つ物語も身近に感じ楽しんだ様子もご紹介いたします。
和装男子にもご注目
現代に劣らず江戸時代の男性たちも装うことに情熱を傾けました。浮世絵には暗い色味のきものに赤い帯をあわせる「腹切帯」と称される独特の着こなしや、輸入品である金唐革を使用した煙草入れなど男性たちの小物へのこだわりも随所に描かれています。着飾った美少年、こなれた着こなしを見せる通人、勇み肌の男性のワイルドな浴衣姿など、ファッションに表れるそれぞれの個性もご覧ください。
着こなしを楽しむ ―粋も、ゴージャスも、可愛いも!―
江戸時代の人々の装いは、身分や年齢、職業などによって異なっていました。浮世絵でも豪華な髪飾りや趣向を凝らした衣装をまとう花魁、花柄や明るい色味でコーディネートした町娘、簪や半襟などの小物使いが洒落ている芸者など、異なる魅力が描き出されています。それぞれの工夫が光る装いから、着こなしのテクニックを盗んで見るのも楽しいかもしれません。
「太田記念美術館」ホームページ
太田記念美術館 Ota Memorial Museum of Art (ukiyoe-ota-muse.jp)
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