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Channel: とんとん・にっき
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若松英輔の「読み終わらない本」を読んだ!

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若松英輔の「読み終わらない本」(KADOKAWA:2023年3月1日初版発行)を読みました。

 

初出は、「小説野生時代」2019年4月号~10月号、2019年12月号~2020年2月号です。

 

不思議な本である。若い人たちに向けて、語りかけている本です。が、しかし、そうとも言えない。大人に向けての本でもある。

100分de名著の人気講師がすべての若者たちへ贈る「読むこと」の哲学。

変わっていく君と共に

「生きて」くれる本に出合ってほしい。
サン=テグジュペリ、石牟礼道子、岡倉天心、神谷美恵子、吉野源三郎、リルケ、ミル、小林秀雄、河合隼雄、フランクル、

そして無声のコトバを紡ぐ詩人たち――

未来に手渡してゆきたい叡智と希望が、ここにある。

人生を変えた本と言葉を手紙に綴る、

全12編のエッセイ

 
本に呼ばれるなんて、そんなことあるのか、と思うかもしれない。今はそう感じていても、君もきっと、いつかどこかで運命の一冊に出会うことになる。
そうした運命の一冊を君はすぐに読むとは限らない。買って、手もとにあるのだけど、ずっと読み切ることができないかもしれない。でも、気になって、いつも手がすぐ届くようなところにおいてある、そんな一冊と君が出会うことができたら、君の読書の扉はもう、けっして閉じることがない。(「読書の扉」)
 

これから僕は君に、少し長い手紙を書こうと思う――。
今、ぼくたちは、とても困難な時代を生きている。ひとがひととのつながりを見失いつつある時代に生きている。ある意味では、ひとを信頼するという当たり前のことが、こんなにむずかしくなった時代はないかもしれない。でも君が、個人を信頼することがむずかしいことがあっても、人間への信頼を失わないでいてくれたら――今という時代に失望を感じることがあっても、絶望のなかにさえも希望を見い出そうとしたひとが、かつていたことを忘れないでいてくれたら。そう願ってやまない。(「小さなひと」)

目次
小さなひと
春の使者 
言葉の花束
悲しみの弦
コペル君と網目の法則
愛と「生きがい」
コトバのちから
自由の危機
いつくしみの手仕事
「空」の世界と「いのち」のちから
読書の扉
愛しいひと

おわりに
参考文献/ブックガイド

 

若松英輔:

批評家・随筆家。1968年(昭和43年)、新潟県生まれ。慶應義塾大学文学部仏文科卒業。「越知保夫とその時代 求道の文学」で第14回三田文学新人賞評論部門当選。「叡智の詩学 小林秀雄と井筒俊彦」で第2回西脇順三郎学術賞、「見えない涙」で第33回詩歌文学館賞、「小林秀雄 美しい花」で第16回角川財団学芸賞、第16回蓮如賞受賞。他の著作に「井筒俊彦―叡智の哲学」「生きる哲学」「霊性の哲学」「悲しみの秘義」「内村鑑三 悲しみの使徒」「いのちの巡礼者―教皇フランチェスコの祈り」「イエス伝」「生きていくうえで、かけがいのないこと」「読書のちから」「弱さのちから」「14歳の教室 どう読みどう生きるか」「本を読めなくなった人のための読書論」「考える教室 大人のための哲学入門」、詩集に「たましいの世話」「愛について」「美しいとき」などがある。


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