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高階秀爾の「カラー版 名画を見る眼Ⅱ―印象派からピカソまでピカソまで」を読んだ!

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高階秀爾の「カラー版 名画を見る眼Ⅱ―印象派からピカソまでピカソまで」(岩波新書:2023年6月20日カラー版第1刷発行)を読みました。
 
「カラー版名画を見る眼」はこちら

 

モネ、ゴッホ、マティス、ピカソ、カンディンスキー・・・
激動の近代絵画史を通観
新たに参考図版59点とともに、名画を大きく、すべてカラーで紹介。
累計82万部、50年以上読み継がれてきた美術史入門の大定番
 
目次
Ⅰ モネ「パラソルをさす女―光への渇望」
Ⅱ ルノワール「ピアノの前の少女たち」―色彩のハーモニー
Ⅲ セザンヌ「温室のなかのセザンヌ夫人」―造形のドラマ
Ⅳ ファン・ゴッホ「アルルの寝室」―不気味な内面世界
Ⅴ ゴーギャン「イア・オラナ・マリヤ」―異国的幻想
Ⅵ スーラ「グランド・ジャット島の日曜日の午後」静謐な詩情
Ⅶ ロートレック「ムーラン・ルージュのポスター」世紀末の哀愁
Ⅷ ルソー「眠るジプシー女」―素朴派の夢
Ⅸ ムンク「叫び」―不安と恐れ
Ⅹ マティス「大きな赤い室内」―単純化された色面
Ⅵ ピカソ「アヴィニョンの娘たち」―キュビスムの誕生
Ⅶ シャガール「私と村」―回想の芸術
Ⅷ カンディンスキー「印象・第四番」―抽象絵画への道
* モンドリアン「ブロードウェイ・ブギウギ」―大都会の造形詩
あとがき
「カラー版名画を見る眼」へのあとがき
 
以下、取り上げられた作品の一部を…
モネ「パラソルをさす女―光への渇望」
白いドレスを身にまとい、パラソルをさして丘の上に爽やかに立つ若い女性を描きだしたこの作品においても、画面の隅々にいたるまで、明るい光が溢れている。それは、開け放たれた窓から遠慮がちにはいりこんで、シャンデリアや卓上の静物に静かに結晶するフェルメールの光りではなく、もっと奔放自在に拡散し、反射しながら、世界全体を浸してしまう洪水のような光である。
 
ルノワール「ピアノの前の少女たち」―色彩のハーモニー
姉妹らしい二人の少女が、仲良く寄り添ってピアノに向かっている。白いドレスを着て青いベルトを締め、ブロンドの髪に同じような青いリボンをつけた妹らしい少女は、椅子に腰を下ろして、片手で譜面台の上の楽譜を支え、もう一方の手を鍵盤に載せて、一生懸命練習している。首の周りに白いレース飾りをのぞかせた赤い衣装をまとった姉らしい少女の方は、その傍らに立って片肘をピアノにかけ、もう一方の手で妹の座っている椅子の背をつかみながら、優しく妹の練習ぶりを見守っている。
 
セザンヌ「温室のなかのセザンヌ夫人」―造形のドラマ
現在われわれの目の前にある肖像画は、モデルについて、ほとんど何も教えてはくれない。われわれはたまたまそれがセザンヌ夫人を描いたものであることを知っている。彼女は、やや紫がかった青い服を着て、椅子に座っている。だがそのポーズはきわめて平凡で、その表情はかたく閉ざされている。彼女の人となりや気分を表すような要素は、まったく見られない。いやそれどころか、果たしてセザンヌ夫人がこのような顔をしていたのかどうかさえ、いささかあ覚束ない。同じ彼女を描きだした作品では、彼女はまるで同一人物とは思えないほど違った顔付きを島しているからである。
 
マティス「大きな赤い室内」―単純化された色面
この作品は画面のほとんど全部が、燃えるような赤で塗りつぶされている。画面構成は比較的単純で、縦長のカンヴァスを縦横ほぼ等しい四つの区画に区切り、上半分には、壁にかけられたデッサンと油絵、下半分には丸いテーブルと四角いテーブルがそれぞれの区画のほぼ中央に置かれている。そして、下のそのふたつのテーブルを結びつけるような具合に中央に簡素な肘掛椅子があり、画面のいちばん下の端には、熊の皮の敷物の一部と猫が見える。

 

高階秀爾(タカシナ シュウジ):
1932(昭和7)年,東京に生まれる.53年,東京大学教養学部卒業,同大学大学院で美術史を専攻.54-59年,パリ大学附属美術研究所で近代美術史を専攻.国立西洋美術館主任研究官,文部技官などを経て,79年,東京大学教授.92年,国立西洋美術館館長(-2000年).現在,大原美術館館長.
著書『フィレンツェ』(中公新書,1966年)
   『芸術空間の系譜』(SD 選書,1967年)
   『 ルネッサンスの光と闇』(三彩社,1971年,中公文庫,全2 冊,2018年)
   『 近代絵画史』(中公新書,全 2冊,1975年,カラー増補版:2017年)
   『芸術のパトロンたち』(岩波新書,1997年)
    ほか多数.

 

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