町田そのこの「52ヘルツのクジラたち」(中公文庫:2023年5月25日初版発行)を読みました。
なんと本のカバーには「2021年本屋大賞第1位」の文字が…。
しかも2024年春に映画化決定とも…。
この本のことは知ってはいましたが、なぜか読むに至ってませんでした。
文庫化されたので、この機会に読んでみようかと…。
52ヘルツのクジラとは、他のクジラが聞き取れない高い周波数で鳴く世界で一匹だけのクジラ。何も届かない、何も届けられない。そのためこの世で一番孤独だと言われている。
自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれる少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、新たな魂の物語が生まれる――。
〈解説〉内田剛
解説の内田剛は、大絶賛、以下のように言う。
読み返して、心の底から素晴らしい一冊であると実感した。琴線に触れるとは、こうした読書体験を指すのだろう。展開や結末が分かっていても心が大きく揺さぶられ、ジワジワと涙が込みあげてくるのだ。読みどころしか見当たらず、何度でも何度でも違った感動を味わえる。人肌の温もりが存分に伝わり、読めば誰もが優しくなれる。これぞまさしく本物の文学作品。伝えていかねばならない。未来永劫、読み継がれるべき小説なのだ。
町田そのこのこの活躍は勢いを増している。本書の刊行後も「星を掬う」(2021年刊)、「宙ごはん」(2022年刊)と立て続けに本屋大賞ノミネート作品に選出されており、全国の書店員から愛され、いまや新作が待たれる注目の作家のひとりだ。次はいったいどんなテーマで僕らを感動の渦に巻き込んでくれるのか、今後が楽しみで仕方がない。