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ロマン・ポランスキー監督「おとなのけんか」を観た!

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ポランスキー監督はポーランド人、生い立ちが凄い。「ゲットーのユダヤ人が一斉に逮捕される直前、父親はゲットーの有刺鉄線を切って穴を作り、そこから息子を逃がした。父母はドイツ人に別々に連行された。母親はアウシュビッツでドイツ人に虐殺された。父親はドイツ人により採石場で強制労働をさせられ、終戦まで生き残った」(ウィキペディアより)。ポランスキー監督は少女への淫行疑惑でヨーロッパへ逃亡、昔はちょっとへんてこりんな監督という印象がありましたが、「戦場のピアニスト」(2002年)でアカデミー賞3部門を受賞して巨匠の仲間入り。だが、アメリカへの入国は出来なかったという。


「おとなのけんか」(Carnage) は、2011年のフランス・ドイツ・ポーランド・スペイン合作のコメディ映画。ヤスミナ・レザによる戯曲「大人は、かく戦えり」(Le Dieu du carnage) に基づき、レザ自身とロマン・ポランスキーが脚本を書き、ポランスキーが監督を務めた(ウィキペディアより)。ジョディ・フォスター、「告発の行方」(1988年)や「羊たちの沈黙」(1991年)が、記憶に残っています。ケイト・ウィンスレット、ベルンハルト・シュリンクの「朗読者」を映画化した「愛を読む人」(2008年)でアカデミー賞受賞しています。「リトル・チルドレン」や「ホリディ」も観ました。


この映画は、「千の天使がバスケットボールをする」 を見て初めて知りました。マンハッタンを舞台に製作したとのこと、つい先日、ウッディ・アレンの「マンハッタン」をDVDで観たばかりなので、「おとなのけんか」に、俄然興味がわいてきて、さっそく観に行ってきました。2組の夫婦、ケイト・ウィンスレットが出ていることもあり、「ホリディ」のような恋愛喜劇を想像していました。ところが撮影は同じ部屋だけで、しかも時間も見る者と同じく同時進行、出演者もたったの4人。明らかに「舞台劇」ですよ、これは。当然のこと、台詞回しがもの凄くいい。


この2組の夫婦、男が2人、女が2人、その人物観察は「千の天使・・・」に詳しい。ただし、「千の天使・・・」にある「君の友人のジョディ・フォースターのように社会正義を振り回す女よりも・・・」という箇所は、「ジェーン・フォンダのように世界をよき世界へに変えようとする女よりも・・・」だったと思いますが。


アッと驚かされた箇所、ひとつは冷えていないコーラを飲まされてゲロを吐くところ。インテリを気取って、机の上に置いてあるココシュカの画集の上に吐いたからたまりません。その下にはフジタもありました。インテリの化けの皮が剥がれます。旦那のスーツにまでゲロがかかり、ズボンをバスルームでドライヤーで乾かすところがまた傑作。


もう一つは、旦那が極度のケータイ男。いるんだよな、こんな男が。いよいよクライマックス、旦那の大事なケータイを、ついにキレた奥さんが花瓶の水の中へポチャンと落としてしまったところ。ケータイ男の旦那は、「俺の全人生が・・・」と言って、ヘナヘナと腰が抜けたように座り込んでしまいます。大慌てでドライヤーで乾かすが、ダメです、使えません。


「だんだんよく鳴る法華の太鼓」よろしく、奥さん同士の言い争いのボルテージがどんどん上がってきます。最初はお茶を飲んでケーキでも食べて、和気藹々と友好的な関係でしたが、次第に酒でも飲むか、飲まずにいられるか、となっていきます。旦那は奥さんに加勢したり、時には相手の旦那と同調したり、この間合いが見事です。それをうまく調整しているのが旦那の仕事仲間から要所要所に掛かってくるケータイです。そうそう、一方の旦那の母親からの電話がこれまた面白い。奥さん同士の負けず劣らずの言い争い、ストレートな感情表現は、さすがはアメリカです。


そしてラスト、黄色いチューリップの束を掴んで花瓶に叩き付けると、水没して使えなくなったケータイの呼び出し音が、なぜか再び鳴り始めます。


以下、とりあえずシネマトゥデイより引用しておきます。


チェック:世界各地の公演で好評を博し、演劇界でも権威のあるオリヴィエ賞とトニー賞に輝いたヤスミナ・レザの舞台劇を、名匠ロマン・ポランスキー監督が映画化したコメディー。子ども同士のケンカを解決するため集まった2組の夫婦が、それぞれに抱える不満や本音をぶつけながらバトルを繰り広げるさまを描く。和解のための話し合いから修羅場に陥っていく2組の夫婦を、ジョディ・フォスターとジョン・C・ライリー、ケイト・ウィンスレットとクリストフ・ヴァルツという演技派が務める。豪華なキャストが集結した本作で、彼らがどんなストーリーを展開していくのか注目したい。

ストーリー:ニューヨーク・ブルックリン、子ども同士のケンカを解決するため2組の夫婦、ロングストリート夫妻(ジョン・C・ライリー、ジョディ・フォスター)とカウアン夫妻(クリストフ・ヴァルツ、ケイト・ウィンスレット)が集まる。双方は冷静かつ理性的に話し合いを進めるが、いつしか会話は激化しホンネ合戦に。それぞれが抱える不満や問題をぶちまけ合い、収拾のつかない事態に陥っていく。


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「おとなのけんか」公式サイト

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