黒沢隆は「近代・時代のなかの住居」(発行:株式会社リクルート出版:1990年12月25日初版第一刷発行)のなかで、最後の項に「光と影と建築と」として安藤忠雄の設計した「小篠邸」を取り上げています。2棟に分かれたコンクリート打ち放しの住宅です。南棟は6帖ほどの小部屋が8室並んでいます。北棟の1階はリビング・ダイニング、2階にベッドルームが2室配置してあります。斜面に建っているので、玄関は2階、玄関を入ると、階段でリビングへ下りるようになっています。どのような家族構成か、詳しくはわかりませんが、「渡辺篤史の建物探訪」(それによるとコシノヒロコ邸らしい?)など、何度かテレビに取り上げられていたのを見たことがあります。
僕は20年数年前に、この住宅を観に行ったことがあります。下の画像5枚がその時に映したものです。建築雑誌に載ったときに、住所が芦屋市奥池とあったので、芦屋の駅から近いと思いタクシーに乗ったら、奥池はトンでもなく遠いところでした。タクシーは山道をどんどん登り、もうほとんど山間の風光明媚な別荘地の様相でした。タクシーの運転手が「この辺が奥池ですよ」と言った途端に、この特徴ある住宅がタクシーの窓から見えました。道路に止まっているタクシーは、僕が乗っていって、観て回っているときに待たせていたタクシーです。
僕は何度か、神戸近辺に行って、安藤の初期の作品はほとんど観て回りました。が、「住吉の長屋」だけは、1日がかりで探したのですが、とうとう見つかりませんでした。実は僕は安藤忠雄の本はほとんど持っていません。鹿島出版会の「SD」という雑誌で安藤忠雄の初期の作品を集めた「特集号」をたしか2冊持っていたはずで、家中探しまくったのですが、なぜか出てきません。たまたま黒沢隆の本に載っていたので、そちらから図面を借用しました。
NHKの朝の連続テレビドラマの「カーネーション」は、小篠一家の物語です。ドラマは昨日、終了しました。
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