またまたNHKBSで放映していたので、ビデオに録画して観ました。
2016年4月にも放映していました。その時にブログに載せました。それをそのまま以下に載せておきます。ただし、画像のみ入れ替えています。
シネマ「起終点駅 ターミナル」
2022年10月24日(月) 9:00PM(1H55M)NHKBSプレミアム
「終点駅」はやがて「始発駅」になる。
誰の人生のなかにも終点と起点があり、
終わりだと思っていた場所が始まりの場所になる──。
『起終点駅 ターミナル』は、果ての街・釧路で人生の終わりへと向かっていたはずの男と女が出会い、孤独を分かち合い、そして再びそれぞれの人生の一歩を歩きはじめる感動の物語。原作は2013年に「ホテルローヤル」で第149回直木賞を受賞しベストセラー作家となった桜木紫乃が2012年に発表した「起終点駅 ターミナル」。6作からなる短編集の表題作の映画化だ。
主人公は司法では罰せられない罪、誰にも裁いてもらうことのできない罪を抱えて生きる弁護士の鷲田完治。演じるのは名実ともに日本を代表する俳優、佐藤浩市。2015年は『愛を積む人』『HERO』『アンフェア』など主演・出演作の公開が続く彼が、人生の悔恨と人間の狡さや汚さを内包した、とりわけ難しいこの役柄で新境地に挑んでいる。鷲田と出会い、救われ、新たな人生に希望を見出していくヒロイン、椎名敦子役には本田翼。青春映画『アオハライド』で真っ直ぐに人を好きになる女子高校生を演じた彼女が本作では打って変わり、孤独を背負い人生に迷う女性というシリアスな役で女優として新しい一面をみせる。また、完治のなかに“過去の人”として、“愛した女性”として生き続ける結城冴子役に尾野真千子。ほか中村獅童、和田正人、音尾琢真、泉谷しげるなど実力派キャストが脇を固める。
そして全編を彩る音楽は、たおやかな情感で観客の心を包み込む小林武史。監督は『はつ恋』『深呼吸の必要』などみずみずしい感性で人間を描き続ける篠原哲雄。本作では、愛を失い、心を閉ざし立ち止まっていた男と女の楔(くさび)が解かれ旅立つ姿を丁寧に描いていく。
撮影は原作と同じく北海道・釧路にて1ヵ月以上にわたってロケを敢行。愛した人と逢瀬を重ねた海沿いの街、その彼女が消えていった雪景色、裁判所へつづくゆるやかな坂道、そして駅から駅へどこまでも続く線路──。そんな北海道・釧路の美しく悲しく力強い情景とともに描かれる、今を生きる2人の男女の未来への一歩。その一歩はすべての人の始発駅になる。
男は、愛した女の死から逃れるように果ての街の駅に降り立った
北海道の旭川で裁判官として働く鷲田完治(佐藤浩市)のもとに、学生時代の恋人・結城冴子(尾野真千子)が被告人として現れる。彼女に執行猶予付きの判決を与えた完治は裁判後、冴子が働くスナックに通い逢瀬を重ねるようになるが、かつて愛し合った男と女の再会の時間は限られていた。2年の北海道勤務を終え、妻子の待つ東京へ戻る日が近づいていた完治だったが、彼はすべてを捨てて冴子と共に暮らしていこうと決める。けれど、冴子はその想いに応えることなく完治の目の前で自ら命を絶ってしまうのだった。
女は、果ての街で孤独に生きる男から未来への切符を受け取った
それから25年。完治は誰とも関わることなく釧路で国選弁護人としてひっそりと生きていた。それはまるで愛した女性を死に追いやってしまった自分自身を裁き罰を課すようでもあった。そんなある日、弁護を担当した若い女性、椎名敦子(本田 翼)が完治の自宅を訪ねてくる。ある人を探して欲しいという依頼だった。個人の依頼は受けないと心に決めて生きてきた完治だったが、家族に見放され誰にも頼ることなく生きてきた敦子の存在は、ずっと止まったままだった完治の心の歯車を少しずつ動かしていく。敦子もまた完治との出会いによって、自分の生きる道を見出していくのだった。
そして、人生の終着駅だと思っていた釧路の街は未来へ旅立つ始発駅となり、2人それぞれの新しい人生が動き出そうとしていた。
羽田~ウィーン間の機内で観ました。桜木紫乃の作品は直木賞受賞作、道東・釧路の湿原を背景に建つラブホテルを舞台に描かれた「ホテルローヤル」と、道東の開拓村で極貧の家に育った女性の一生を描いた「ラブレス」を読みました。映画「起終点駅 ターミナル」の原作は桜木紫乃です。主演は佐藤浩市、三国連太郎の息子であることもよく知られています。
僕の記憶に残っている佐藤浩市は、デビュー作の「青春の門」も観ていますが、なんといっても「道頓堀川」(1982年6月12日公開、松竹)です。原作は、宮本輝の初期の傑作で、ともに映画化された「蛍川」と「泥の河」とあわせて「川三部作」と呼ばれたひとつの「道頓堀川」(新潮文庫:1994年12月20日発行)です。
新潮文庫の案内には、以下のようにあります。
両親を亡くした大学生の邦彦は、生活の糧を求めて道頓堀の喫茶店に住み込んだ。邦彦に優しい目を向ける店主の武内は、かつて玉突きに命をかけ、妻に去られた無頼の過去をもっていた。―夜は華やかなネオンの光に染まり、昼は街の汚濁を川面に浮かべて流れる道頓堀川。その歓楽の街に生きる男と女たちの人情の機微、秘めた情熱と屈折した思いを、青年の真率な視線でとらえた秀作。
なかでも複雑な人物を演じた松坂慶子の演技は秀逸でした。 出ている人がみんなすごい。真田広之、松坂慶子、山崎勉、加賀まりこ、渡瀬恒彦、大滝秀治、柄本明ですよ。山崎勉は喫茶店のマスター、その喫茶店で深夜「ジェラシー」が流れる中で踊る病弱な女性、名前は忘れましたが。加賀まりこは玉突き屋の二代目の経営者、そして佐藤浩市はハスラー役です。柄本明のおかま役で着物姿で街を流している姿は不気味でした。監督はあの深作欣二でした。
まあ、それはいいとして、映画「起終点駅 ターミナル」、大きくは2つの物語で構成されています。ひとつは、学生時代の恋人、尾野真千子との再会、そして突然のホームで飛び込んでの自死。これはちょっと納得できませんが。もうひとつは、本田翼との出会い。「彼女に冴子の面影を見る」とありますが、どう見ても別人、僕にはそうは見えません。「55歳の弁護士が、孤独な25歳の女との出会いを経て再生していくさまを追い掛ける」とありますが、だいたい予想がつきました。面白かったのは、独身生活が長くなると、料理の腕も上がって、25歳の女との交流も手料理を通して交流が深まります。なるほど・・・。
以下、とりあえず「シネマトゥデイ」より引用しておきます。
「ホテルローヤル」で直木賞を受賞した、桜木紫乃の短編小説を原作にした人間ドラマ。判事だったころに体験した苦い出来事を引きずる55歳の弁護士が、孤独な25歳の女との出会いを経て再生していくさまを追い掛ける。メガホンを取るのは、『小川の辺』などの篠原哲雄。『壬生義士伝』、『ザ・マジックアワー』などの佐藤浩市、『アオハライド』などの本田翼が主人公となる男女を、『そして父になる』などの尾野真千子が男の人生に深く関わる人物を演じる。実力派たちの共演に加え、ロケを敢行した北海道釧路市の風景も見どころ。
北海道旭川の地方裁判所判事だった鷲田(佐藤浩市)は、覚せい剤事件の被告となった昔の恋人・冴子(尾野真千子)と法廷で再会。東京に妻子を置いてきた身でありながら、関係をよみがえらせてしまう。だが、その半年後に彼女を失って深く傷つく。それから25年後、鷲田は判事を辞め、妻子と別れ、釧路で国選弁護専門の弁護士として孤独な日々を送っていた。そんな中、担当することになった事件の被告人・敦子(本田翼)と出会った彼は、彼女に冴子の面影を見る。一方の敦子も鷲田に心を許し……。
以下、画像のみ、入れ替えました。
「起終点駅 ターミナル」
著者:桜木紫野
2012年4月
小学館
鷲田完治が道東の釧路で法律事務所を開いてから三十年が経った。国選の弁護だけを引き受ける鷲田にとって、釧路地方裁判所刑事法廷、椎名敦子三十歳の覚醒剤使用事件は、九月に入って最初の仕事だった(表題作「起終点駅」)。
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