本書は、「NHK100分de名著」において、2014年8月および2015年3月に放送された「アンネの日記」のテキストを底本として加筆・修正し、新たにブックス特別章「言葉はどのようにして人間を救うのか」、読書案内などを収載したものです。
たまたまネットで観て、次の「NHK100分de名著」はこれだと勘違いして購入したもの。底本の2014年8月および2015年3月に放送された「アンネの日記」については、僕は放送は観ていません。「アンネの日記」は中学校の図書館で借りてはじめて読んで以来、アンネの母親の世代になった小川洋子の長年追求してきたもの、さまざまな著書や関連した対談などで、もう何度も観て聴いて知っていました。
僕も、オランダ・アムステルダムへ行ったとき、「アンネ・フランクの家」を見学しました。2011年4月17日のことです。
NHK「100分de名著」ブックス アンネの日記
言葉はどのようにして人を救うのか
小川洋子
2022-09-24
NHK出版
苦難のなかで「現実」を「物語」に変えていったアンネ・フランク。「文学」作品としての魅力と彼女を支えた「言葉」を詳述する!苦難の日々を支えたのは、自らが紡いだ「言葉」だった。
ドイツからオランダに一家で移り住んだアンネ・フランクは、第二次世界大戦下の一九四二年、十三歳の誕生日に父親から贈られた日記帳に、思春期の揺れる心情と「隠れ家」での困窮生活の実情を彩り豊かに綴った。そこに記された「文学」と呼ぶにふさわしい表現と言葉は、コロナ禍に見舞われ、戦争を目の当たりにした私たちに静かな勇気と確かな希望を与えてくれる。
以下「はじめに」より
本書では、『アンネの日記』が本来持っている文学的な豊かさについて、真正面から考えてみたいと思います。思春期の少女が、なにを考え、なにを感じ、それをどのように表現したのか。ここにはみずみずしい青春の息吹がみなぎっています。(略)これほどリアルな少女の声が胸に響いてくる文学を、わたしは他に知りません。
この本の「連行された日の出来事」のなかで、「アンネの日記に、とても有名な一説があります」と、小川は言う。
わたしの望みは、死んでからもなお生きつづけること!
という箇所。これは、考えてみれば不思議なフレーズです。まるで自分が書いた日記が、死後、世界中で読まれることを予言しているかのようです、と小川は言います。
アンネ・フランク・ハウス(アンネたちの隠れ家)
隠れ家の住人たち
過去の関連記事:
読書案内
以下、小川が挙げた読書案内の一部を載せておきます。
「アンネの日記 増補新訂版」
文春文庫
2003年4月10日第1刷
2018年7月15日第34刷
著者:アンネ・フランク
発行所:株式会社文藝春秋
「夜と霧 ドイツ強制収容所の体験記録」
著者:ヴィクトール・E・フランクル
1961年3月5日初版第1刷発行
1971年11月5日新版第1刷発行
1997年1月30日新装第21刷発行
発行所:株式会社みすず書房
「改定完全版 アウシュヴィッツは終わらない これが人間か」
朝日選書
2017年10月25日第1刷発行
2018年7月10日第2刷発行
著者:プリーモ・レーヴィ
発行所:朝日新聞出版
以下、僕の手持ちの小川洋子作品
(その後、多少増えていますが)
単行本11冊(既読)
左:文庫本9冊(既読)
右:文庫本8冊(未読)