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栗原康の「はたらかないで、たらふく食いたい」を読んだ!

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栗原康の「はたらかないで、たらふく食いたい」(ちくま文庫:2021年2月10日第1刷発行)を読みました。副題には「『生の負債』からの解放宣言」とあります。

 

僕が栗原康の本を読むきっかけは、「村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝」に出会ったことによります。なにしろ題名に驚かされました。なんじゃ、これは!しかも岩波から出てるじゃないですか。どんな人かと思って調べてみると、大杉栄研究もしてるアナキスト研究者ということが分かってきました。テレビの番組で見てみると、なんとまあ、アナキストとは程遠い優男じゃあないですか。いっぺんに好きになりました。一遍上人も研究しているし。先日は「100分deパンデミック」に出てましたね。(「アナキスト本を読む」から)

 

早助よう子の解説に、「豚小屋に火を放て」によると、「この恋愛は大変悲しい結末を迎えたらしい」とあったので、人の不幸を早くみたいのでまずそれから読みはじめました。この論文の副題は「伊藤野枝の矛盾恋愛論」であり、最もお堅い「現代思想」に掲載されたという。友人たちが口々に「負けた!」と叫んだという。「見たことのない文体で、ひらがなが多く、めちゃくちゃで、面白かった」と書いています。

 

彼女から、昨日のお礼ですと言われ、開けると緑色の物体が入っていた。カメだ、カメのかたちをしたメロンパンだ。「カメロンパンといいます」。とにかくパンを焼いてきてくれたことがうれしかった。いい娘じゃないですか。涙が出ちゃうよ。

結婚を前提につきあいたい。自分はもう30歳だから、子供を産むことを考えたいと。当時32歳だったが、ほとんど収入がなかった。大学院時代に借りた借金は600万円を超えている。さあ、大変。彼女は公務員。はじめから雲行きがあやしかった。彼女のお父さんと妹さんが反対する。そんな奴はやめておけ。あとはおしてしるべし。

 

しかし、栗原康は全身これアナキスト、朝日新聞にも「新しいアナキスト」として、取り上げられていました。NHKの「100分deパンデミック」では「大杉栄評論集」を紹介していましたが、ついにというか、とうとうというか、「新しいアナキスト」として朝日新聞に載りましたよ。自分のことのように嬉しい。タバコと、ビールで乾杯!

 

目次

キリギリスとアリ

 ―はたらくこと馬車馬のごとく、あそぶこと山猿のごとし

切りとれ、この祈る耳を

 ―耳切り一団

3・11になにをしていたか?

 ―とうとう江戸の歴史が終わった

豚小屋の火を放て

 ―伊藤野枝の矛盾恋愛論

甘藷の論理

 ―うまい、うますぎる!

地獄へ堕ちろ

 ―ヘイトスピーチか、それともスラムの念仏か

他人の迷惑かえりみず

 ―心得としての高野長英

お寺の縁側でタバコをふかす

 ―大逆事件を旅してみれば

豚の足でもなめやがれ

 ―もののあはれとはなにか?

大杉栄との出会い

 ―赤ん坊はけっして泣きやまない

ヘソのない人間たち

 ―夢をみながら現実をあるく

反人間的考察

 ―歴史教科書としての「イングロリアス・バスターズ」

豚の女はピイピイとわめく

だまってトイレをつまらせろ

 ―船本洲治のサボタージュ論

文庫本増補

シカ人間の精神

 ―危機のときほど、遊んでしまえ

魂をたがやすな

 ―超絶!悶絶!沖縄旅行

はたらく女性は、方向音痴

 ―地図はなくても歩いてゆける

ほどこしをしたら、こん棒でうて

 ―プレゼントの思想

 

単行本あとがき

文庫本あとがき アリがおどれば、世界はとまる

参考文献

初出一覧

解説 早助よう子

 

NHK「100分deパンデミック」出演時

 

栗原康: 

1979年 玉県生まれ。政治学者、作家、大学非常勤講師(東北芸術工科大学ほか)。早稲田大学大学院政治学研究科博士後期課程満期退学、専門はアナキズム研究。2017年、第10回「池田昌子記念 わたくし、つまりNobody賞」受賞。

単著:「G8サミット体制とはなにか」(以文社 2008、増補2016)、「大杉栄伝―永遠のアナキズム」(夜光社 2013、第5回いける本大賞)、「はたらかないで、たらふく食べたい―『生の負債』からの解放宣言」(タバブックス 2015)、「現代暴力論―『あばれる力』を取り戻す」(角川新書 2015)、「村に白痴になれ―伊藤野枝伝」(岩波書店 2016、岩浪現代文庫 2020)、「死してなお踊れ―一遍上人伝」(河出書房新社 2017、河出文庫 2019)、「アナキズム―一丸となってバラバラに生きろ」(岩波新書 2018)、「執念深い貧乏性」(文藝春秋 2019)、「奨学金なんかこわくない!―『学生に賃金を』完全版」(新評論 2020)など。

監修・編著:「日本のテロ―爆弾の時代60S-70S」(河出書房新社 2017)。「狂い咲け、フリーダム―アナーキズム・アンソロジー」(ちくま文庫 2018)など。

共著:「経済的徴兵制をぶっ潰せ!―戦争と学生」(岩波ブックレット 2017)。「菊とギロチン―やるならいましかねえ、いつだっていましかねえ」(原作:瀬々敬久・相澤虎之助、タバブックス 2018)。「文明の恐怖に直面したら読む本」(白石嘉治との対談、Pヴァイン 2018)。「半島論―文学とアートによる叛乱の地勢学」(響文社 2018)。「平成遺産」(淡交社 2019)など。

近年ははたらきすぎだが、座右の銘は「はたらかない、でたらふく食べたい」。大好物はビール、ドラマ鑑賞、詩吟、河内音頭、長淵剛。

 

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テアトル新宿で、瀬々敬久監督の「菊とギロチン」を観た!

 

朝日新聞:2022年7月20日


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