古市憲寿の「10分で名著」(講談社現代新庫:2022年5月20日第1刷発行)を読みました。
古市憲寿は、初期の、芥川賞候補作など数冊、読みました。コメンテーターとして、テレビで観ることもありました。どういう人かはよくわかりません。社会学者、と名のっているようですが・・・。最近、「ヒノマル」という長篇小説が出たようですが、購入するまでには至っておりません。
さて、「10分で名著」、題名からしてNHKの「100分de名著」をパロっているのは明らかです。「名著」として選ばれているのは、文句の言いようのない「古典」ばかりです。この本は、ほとんどその道の達人、「最強の水先案内人」に多くを負っています。なぜかアインシュタインの「相対性理論」が入っています。まさに「虫のいいガイド本」です。でも、やっぱり本は読まなくては分かったことにはなりません。
本のカバーには、以下のようにあります。
最強の水先案内人が
プロに「読みどころ」を聞いてみた――。
『神曲』『源氏物語』『わが闘争』『資本論』……、名著を読まなくても楽しめる、虫のいいガイド本、誕生!
好きな女性とはセックスできず、
添い寝しかできない男の悲哀――『源氏物語』
莫大な印税収入でヒトラーは自信をつけた――『わが闘争』
手に取ってみたけれど、挫折した……、
でもあきらめるのはまだ早い!
聞き手=古市憲寿+構成=斎藤哲也の
名コンビが贈る名著ショートカット。
幸いなことに、「名著」や「古典」には人生を掛けて、その一冊と向き合ってきたようなプロがいる。何の前提知識もなく、いきなり分厚い古典を読んで、「やっぱり難しい」とあきらめてしまうのは、あまりにも勿体ない。もちろんプロの言うことが100%正しいとは限らない。初読者が思いも寄らぬ発見をする可能性はゼロではない。確かに本の読み方に正解はない。だが、「名著」や「古典」は、古今東西、数え切れない人に読まれてきたのだ。せっかく地図がある街を、手ぶらで歩くのは、あまりにも効率が悪い。結果的に地図を見ないとしても、一応は先人の言うことを聞いておいて損はない。というわけで、厳選した12の「名著」や「古典」について、その道のプロの読み方、読見どころを聞いてきた。本書はいわば「名著の歩き方」ということになる。――「はじめに」より
目次
はじめに
第1回 ダンテ「神曲」――都市市民が生まれて、煉獄が生まれた 原基晶
第2回 紫式部「源氏物語」――「宇治十帖」の不器用で流されやすい登場人物たち 大塚ひかり
第3回 プルースト「失われた時を求めて」――宝探しのように自分の読みたいところを探す 高遠弘美
第4回 アインシュタイン「相対性理論」――時間も空間も一つではない 竹内薫
第5回 ルソー「社会契約論」――「明日からこの国を、この世界をどうしよう」と考えるヒント 東浩紀
第6回 ニーチェ「ツァラトゥストラ」――「神は死んだ」など好きなパワーワードを探してみる 竹田青嗣
第7回 ヒトラー「わが闘争」――大衆を小馬鹿にした第6章「戦時宣伝」 佐藤卓己
第8回 カミユ「ペスト」――「自分事」となると、一気に読みやすくなる 佐々木匠
第9回 「古事記」――縄文系と弥生系の世界観が混在していた 三浦佑之
第10回 マーガレット・ミッチェル「風と共に去りぬ」――単なる恋愛小説ではない 鴻巣友季子
第11回 アダム・スミス「国富論」――啓蒙の時代にお金儲けは肯定された 野原慎司
第12回 マルクス「資本論」――「新しい世界」の秘密を明らかにしようとした 的場昭弘
古市憲寿:
1985年東京都生まれ。社会学者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員。日本学術振興会「育志賞」受賞。若者の生態を的確に抽出し、クールに援護した著書「絶望の国の幸福な若者たち」、世界の戦争博物館を巡り戦争と記憶の関係について考察した「誰も戦争を教えてくれなかった」(以上、講談社)で注目され、メディアで活躍。他著書に「絶対に挫折しない日本史」「楽観論」(以上、新潮新書)、「古市くん、社会学を学び直しなさい!」(光文社新書)など。
小説に「平成くん、さよなら」「ヒノマル」(以上、文藝春秋)、「百の夜は跳ねて」(新潮社)、「アスク・ミー・ホワイ」(マガジンハウス)などがある。
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