岩波ホールで「歩いて見た世界 ブルース・チャトウィンの足跡」を観てきました。岩波ホールは2022年7月29日で閉館となります。この映画が、最後の上映作品となります。
キーワードは「ノマディズム/放浪」!
僕はまったく知らなかった映画です。それにしても不思議な映画です。
“神話”を旅したと云われる、
伝説の作家ブルース・チャトウィン。
生前のチャトウィンと親交があった巨匠ヴェルナー・ヘツツォークが、その放浪の足跡を辿る——
彗星のように現れこの夜を去っていったイギリス人作家ブルース・チャトウィン。この作品は彼の没後30年に、生前チャトウィンと親交を結んだ巨匠ヴェルナー・ヘルツォークが制作したドキュメンタリーである。ヘルツォーク監督は、パタゴニアや中央オーストラリアのアボリジニの地など、チャトウィンが歩いた道を自らも辿り、チャトウィンが魅了された「ノマディズム/放浪」という、人間の存在の根底にある大きな概念を探求する旅に出る。
自分はどのように生きてゆくのか。
旅人で作家のブルース・チャトウィンは、幼少の頃、祖母の家のガラス張りの飾り棚にあった“ブロントサウルス”の毛皮をきっかけに、先史時代や人類史に関心を抱いた。美術品の蒐集家、考古学の研究生、ジャーナリストと、様々なフィールドで非凡な才能を発揮したチャトウィンが最終的に選んだのは、自らの足で旅をしながら小説を書く人生だった。南米を旅し、デビュー作「パタゴニア」を書きあげたチャトウィンは、その後、アボリジニの神話に魅せられ、中央オーストラリアを旅した。当時は不治の病だったHIVに感染し、自らに訪れる死を悟ったチャトウィンは、死が近づいたアボリジニが制を受けた地に帰還するように、物語の中で自らの死に方を探りながら「ソングライン」を書きあげた。映画は、一枚の毛皮から始まったチャトウィンの旅がユーカリの木陰の下で終るまで、その過程で交差した人々のインタビューを交えながら、全8章、ヘルツォーク監督自身のナレーションで綴られていく。
ブルース・チャトウィンとヴェルナー・ヘルツォーク
ブルース・チャトウィン(作家/1940年イギリス生まれ)
オークションで有名なサザビーズで美術鑑定士、収集家として成功を収め、その後、エジンバラ大学で考古学を専攻する。幼少の頃から先史時代に興味を持っていたチャトウィンは、見慣れないものを求めて世界中を歩いた。1978年に『パタゴニア』で作家デビューを果たし、栄誉ある数多くの賞に輝き、時代を代表する作家としての地位を築く。1989年にHIVで他界するまで5作の小説を発表した。バイオグラフィー:『パタゴニア』(78)、『ウィダーの副王』(80)、『黒が丘の上で』(82)、『ソングライン』(87)、『ウッツ男爵』(88)。
ヴェルナー・ヘルツォーク(映画監督/1942年ドイツ生まれ)
1960年から60作以上、映画の監督、脚本、プロデューサーを務める。ヴェンダースやファスビンダーと並ぶニュー・ジャーマン・シネマの旗手。『カスパー・ハウザーの謎』(74)でカンヌ国際映画祭審査員グランプリ、『フィッツカラルド』(82)で同監督賞を受賞する。近年では精力的にNetflixやAppleなど国際配信会社とドキュメンタリー作品を手がけている。ヘルツォーク監督のドキュメンタリーが日本で劇場公開されるのは、『世界最古の洞窟壁画3D 忘れられた夢の記憶』(12)以来10年ぶり、岩波ホールでの作品公開は『アギーレ・神の怒り』(83)以来39年ぶりとなる。
以下、KINENOTEによる。
解説:
ニュー・ジャーマン・シネマの旗手ヴェルナー・ヘルツォーク監督が、親交のあった紀行作家ブルース・チャトウィンの足跡を辿るドキュメンタリー。チャトウィンが生前歩いた道を監督自ら辿り、チャトウィンが魅了されたノマディズム(放浪)について探究する。ヘルツォーク監督が自らナレーションも担当。チャトウィンの旅の中で出会った人々のインタビューを交えながら、全8章立てで旅の中に自らの生き方を探した作家を追っていく。「世界最古の洞窟壁画 3D 忘れられた夢の記憶」などでヘルツォーク監督と組んできたチェロ奏者・作曲家のエルンスト・レイシグルが音楽を手がける。
あらすじ:
紀行作家のブルース・チャトウィンが先史時代や人類史に関心を抱いたきっかけは、幼少の頃に祖母の家で見たブロントサウルスの毛皮だった。美術品の蒐集家や考古学の研究生、ジャーナリストと、様々なフィールドで非凡な才能を発揮したチャトウィンが最終的に選んだのは、自らの足で旅をしながら小説を書く人生だった。南米を旅して、デビュー作『パタゴニア』を書きあげたチャトウィン。そしてアボリジニの神話に魅せられ、中央オーストラリアを旅していった。しかしHIVに感染。当時、エイズは不治の病だった。死を悟ったチャトウィンは、死に近づいたアボリジニが生を受けた地に帰還するように、自らの死に方を探りながら『ソングライン』を書きあげた。本作では生前チャトウィンと親交を結んだヴェルナー・ヘルツォーク監督が、パタゴニアや中央オーストラリアのアボリジニの地などチャトウィンが歩いた道を自らも辿り、チャトウィンが魅了されたノマディズム(放浪)について探究する旅に出る。
歩いて見た世界 ブルース・チャトウィンの足跡 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)
朝日新聞:2022年6月10日
おまけ:
fubukiさんのおすすめ、行ってきました。
神田神保町の絵本専門店、ブックハウスカフェ。