2月の100分de名著は「日蓮の手紙 筆に込められた仏心」です。
もう2月7日の第1回目は終了し、14日は第2回目です。
以下、NHKのホームページより。
京都佛立ミュージアムにてただいま展示中の「思想としての法華経展」で監修いただいた仏教思想研究家・植木雅俊先生の近著「日蓮の手紙」がNHK「100分de名著」(全4回)に取り上げられます。第一回放送がEテレにて2月7日22時25分から、また時間帯を変えて2月9日5時30分から、2月9日正午からと放送されます。
ご降誕800年をまもなく迎えるにあたり、お祖師さまについて知ることができる、学ぶことができる、このような機会を得られるのもご縁です。是非ともご覧ください。
新型コロナ禍における人々の分断、身も心も何かに追われ生き方を見失いがちな競争社会……なすすべもない苦悩や悲嘆に直面せざるを得ない現代にあって、「日蓮の手紙」を現代的な視点から読み直しながら、「人々に寄り添うことの大切さ」「苦難に立ち向かう勇気」といったテーマを掘り下げ、「人間はどう生きていけばよいのか」という根源的なテーマを考えていきます。(NHKより抜粋)
100分de名著「日蓮」
「日蓮の手紙」植木雅俊(仏教思想研究家・作家
第1回 2月7日放送/2月9日再放送
人間・日蓮の実像
第2回 2月14日放送/2月16日再放送
厳しい現実を生き抜く
第3回 2月21日放送/2月23日再放送
女性たちの心に寄り添う
第4回 2月28日放送/3月2日再放送
病や死と向き合う
NHK Eテレ
放送 :月曜日午後10:25~10:50
再放送:水曜日午前05:30~05:55
午後00:00~00:25
https://www.nhk.or.jp/meicho
プロデューサーAのおもわく。
日本がかつてないほど大きな社会変動に直面した鎌倉時代。宗教界にも大きな革命が進行していました。それまで貴族階級や知識階級の独占物だった仏教を庶民のもとへひきもどし、苦悩に沈む全ての人に救済をもたらそうとした宗教者が続々と登場。その代表格の一人が日蓮(1222-1282)です。
法華経こそ末法の時代を救う最高の経典であることを確信した日蓮は、二度の流罪をはじめとする迫害にも屈せず「法華経の行者」としての生涯を貫きます。法華経に基づき一人ひとりのいのちの絶対的平等性と尊厳性を根幹に据えた日蓮の教えは、その後の日本の文学や思想にも多大な影響を与え続けました。2022年2月には生誕800年を迎え、新たに読み直しも始まっています。そこで、番組では、日蓮の思想や人間像が最も端的に現れているとされる「手紙」にスポットを当て、日蓮の思想の根幹やその現代的な意味について解き明かしていきます。
日蓮は、不幸にも、明治から昭和初期にかけて「国家主義」と結び付けられ、過激な国粋主義のイデオローグとしてのイメージを植え付けられました。しかし、これは一面的な見方です。弟子たちそれぞれの心に寄り添いながら、あるいは励まし、あるいは叱咤し、あるいは悲しみを共にする日蓮直筆の手紙を読むと、知られざる、等身大の日蓮の姿が鮮烈に浮かびあがってきます。宗教者としての覚悟、権力の横暴への冷徹なまなざし、苦悩にあえぐ人々への限りなき慈愛、職場や家族関係で生じた葛藤への細やかなアドバイス……。日蓮の手紙を深く読み解いていくと、「苦悩をどう乗り越えていけばよいのか」「人間が一番に大切にしなければならないものとは何か」等々、私達現代人の心を揺さぶる問いをつきつけられます。仏教思想研究家の植木雅俊さんは、日蓮の手紙の最大の魅力は、「相手に応じて、文体、文章、表現を自在に変えながら、徹底的にその人自身に寄り添うことを考え抜いている」ところだといいます。
新型コロナ禍における人々の分断、身も心も何かに追われ生き方を見失いがちな競争社会……なすすべもない苦悩や悲嘆に直面せざるを得ない現代にあって、「日蓮の手紙」を現代的な視点から読み直しながら、「人々に寄り添うことの大切さ」「苦難に立ち向かう勇気」といったテーマを掘り下げ、「人間はどう生きていけばよいのか」という根源的なテーマを考えていきます。
第一回 人間・日蓮の実像
法華経こそ末法の時代に苦悩にあえぐ庶民たちを救う最高の経典だと確信した日蓮は二度の流罪をはじめとする迫害にも屈せず「法華経の行者」としての生涯を貫く。そんな彼を支えたのは何だったのか? 日蓮の手紙を読むと、彼が法華経の中に見出した神髄がにじみ出ている。一人ひとりのいのちの絶対的平等性と尊厳性を徹底的に擁護し、その可能性を引き出していくことを教えた法華経の人間観や生命観。それは人々を支配しようとする権力にとっては都合が悪く危険なものだった。それを広めていくと必ず迫害を受けるとも経文には記されている。彼は迫害を受ければ受けるほど自身の正しさが証明されると感じ使命感を深めていったのだ。第一回は、日蓮の生涯や人となりを紹介しながら、法華経を根幹にした彼の深い人間観、人生観に迫っていく。
第二回 厳しい現実を生き抜く
主君の命令と信仰の葛藤、同僚からの嫉妬や憎悪、親子や兄弟といった家族関係のこじれ等々、人は時になすすべもないような大きな現実の壁に直面する。そんな障害にぶつかったとき人はどうしたらよいのか? 日蓮は、法華経への信仰を重んじながらも、それぞれの状況を事細かに分析して、その人がその立場で最も生かされるような解決法を丁寧に指導する。そこには、宗教者ならではの奥深い人間洞察、社会への深い識見が働いているのだ。第二回は、日蓮の深い人間洞察を通して、職場、家族関係に現れる苦悩や葛藤など厳しい現実を生き抜いていく智慧を学んでいく。
第三回 女性たちの心に寄り添う
日蓮は、当時弱い立場にあった女性たち一人ひとりにも深く寄り添っていく。夫や子供を失って悲しみにくれる女性には、大いなる自然の運航を譬えにした心深く届く言葉で励まし、不浄のものとして差別され自己卑下しがちな女性たちに対しては、法華経に説かれる「女人成仏」の原理を丁寧に説明して、女性こそ最も救われるべき存在だと力づける。日蓮の手紙には、弱い立場、差別される立場の人たちに徹底的に寄り添う温かい言葉に溢れているのだ。第三回は、日蓮が女性たちの心に寄り添った手紙を通して、弱い立場の人々に寄り添うことの大切さを考える。
第四回 病や死と向き合う
日蓮ほど、弟子たちの「死の悲しみ」や「病の苦しみ」に向き合った人は稀だ。家族を失って絶望の底にいる人々にはとことんまで一緒に悲しみ、自らの死や病についても端然としてありのままを受け入れていく。その背景には日蓮独自の深い死生観がある。日蓮は生と死が生命の二つのあり方であると考えた。波が生まれたり消えたりしても海そのものがなくならないのと同じように、人間はある時は生きているというあり方をとり、ある時は死というあり方をとるが、その人の「生命本体」は一貫している。この「生死不二」という立場に立つとき、私たちは死というものと本当の意味で向き合うことができるという。第四回は、日蓮の「死生観」を通して、人間は、病や死とどう向き合っていけばよいか、真の意味で人生を全うするとうはどういうことかを考える。
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