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小川洋子の「遠慮深いうたた寝」を読んだ!

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小川洋子の「遠慮深いうたた寝」(河出書房新社:2021年11月30日初版発行)を読みました。

 

まとまった小説を読みたいと思い本屋をぶらぶらしていると、本屋の本棚の隅の方に、この本がひっそりと眠っていました。おお、これだ、これだ!なんと小川洋子の9年ぶりのエッセイ集です。

 

九谷焼風のクールな表紙がすばらしい。

名久井直子の装幀、装画は上出惠悟。

 

どのエッセイも結局は

文学のない世界では生きられない

ことを告白している――小川洋子

 

日々の出来事、思いで、捜索、手芸、ミュージカル・・・・・

温かな眼で日常を掬い取り、物語の向こう側を描く

 

9年ぶりのエッセイ集!

 

実際には味わえない体験、自分とは異なる誰か、この世にはいない死者、そういうものたちへの想像力が、現実の私の救いとなってくれているのです。そんなことはもう十分に分かっているつもりでしたが、自分の書いた文章を、少し時間をあけて読み返してみると、その分かったつもりの輪郭がよりくっきりと浮かび上がり、こちらに迫ってくるようでした。

(「あとがき」より)

 

目次

 

 I 遠慮深いうたた寝

  集会、胆石、告白

  地雷だらけの世界で

  老化の足音?

  名前の不思議

  ショパンと少年

  幸福な彼ら

  小人か妖精の仕業

  世の中の事情

  業務日誌

  豆ご飯とブブスレー

  小さなナイト

  宇宙時間

  ミス・ミス・ミス

  ラブの毛

  君の瞳

  野菜とお喋り

  記憶の地層

  言葉を捨て去る

  とんかつ

  生きる力

  私だけの王国

  もう一つの人生

  ただそこに、いてくれるだけで

  大人になること

  死者と聴くバッハ

  涙もろい

  白い影

  ブンちゃん

  母親のチキンスープ

  ”推し”のいる幸福

  ミリアム

  終わりの予感

  文章を光らせるもの

  幸福のおすそわけ

  すべては奇跡

  本屋さんの最終日

  読者の働きがあってこそ

  いつか終わる

 

Ⅱ 手芸と始球式

  手芸と始球式

  指と果物

  私に必要な忍耐

  欠航と化粧品と号泣

  二つの日付

  素数は私を裏切らない

  小石を拾いに

 

Ⅲ 物語の向こう側

  千刈さんの指

  二次会へ

  フ―ヴォー村の小学校

  他人の記憶を自分の物語に

  図鑑と空想

  最果てはどこbにある

  言葉と小鳥

  琥珀の完璧な王国

  忘却の地層へ

  「小箱」をめぐる旅

  骨抜きのジョギング

  この夏  

 

Ⅳ 読書と本と

  官能とユーモア 田辺聖子「ジョゼと虎と魚たち」

  恋をなくした時に読みたい本

  内田百閒「件」 繰り返し織り直される布

  「きかんしゃ やえもん」

  十七歳ベスト3

  平然とした文学

  なつかしい一冊

  「トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す」(トーマス・マン著/高橋義孝訳)

  答えのない問い

  私の履歴書 リチャード・ブローティガン「西瓜糖の日々」(藤本和子訳)

 

あとがき

初出一覧

 

日本経済新聞:2021年11月2日

声発せぬ人、描き続ける
作家の小川洋子さんに紫綬褒章

 

小川洋子:

1962年、岡山県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸専修卒業。88年「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞を受賞し、デビュー。91年「妊娠カレンダー」で芥川賞を受賞。2004年『博士の愛した数式』で読売文学賞、本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、06年『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、13年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞、20年『小箱』で野間文芸賞、21年菊池寛賞を受賞。

 

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