中野京子の「名画で読み解く プロイセン王家12の物語」(光文社新書:2021年5月30日初版第1刷発行)を読みました。
大人気!中野京子の「名画で読み解く」シリーズ
この5冊を読めば、歴史も、絵画も、人間もわかる。
大学で語学や西洋文化史を教えながら、翻訳書やオペラの本を出していたが、ほとんど初版止まりで、自分の出す本は売れないものと思っていたが、某出版社の編集者から「全然売れないじゃないか。どうしてくれる」と怒りの電話をもらい、目が覚めた、と中野は「あとがき」に書いています。
それまでの私は全くプロ意識がなかった、世に出した以上は出版社の迷惑にならないよう、遅まきながら猛省した、という。しばらくして「怖い絵」を書き下ろし、あ、「怖い絵」は売れるな、となぜか確信します。その折、光文社新書の女性編集者から連絡があり、新作を依頼されます。ハプスブルグ家の主要絵画12枚を基軸に、600年以上続いた大王町の光芒をたどったもの。タイトルは「名画で読み解くハプスブルグ家12の物語」と決まり、刊行は「怖い絵」からおよそ1年後の2008年夏だった。
という次第で、当初はハプスブルグ家一冊で完結のはずが、その後ブルボン王朝、ロマノフ家、イギリス王家とシリーズ化し、シリーズ累計30万部、どれもロングセラーになっています。「プロイセン王家 12の物語」は、オールカラー版、中野京子の人気シリーズ、第5弾、というわけです。
これを読んで、いかにドイツのことを知らなかったか(もちろんドイツだけではありませんが)、よくわかりました。もちろん、以前からそのことは知っていたので、ずいぶん昔に購入してあった本を読まなければと、再び思ったというわけです。
中公新書「物語ドイツの歴史 ドイツ的とは何か」
阿部謹也著 1998年5月25日初版
岩波新書「ドイツ10講」
坂井榮八郎著 2003年2月20日第1刷発行
名画で読み解く プロイセン王家 12の物語
中野京子/著
長い群雄割拠時代を経て、19世紀、プロイセンのホーエンツォレルン家はついにドイツを一つにまとめ、帝国を形成してヨーロッパ最強国の一角に食い込んだ。フリードリヒ大王とビスマルク――二人の傑物がいなければ、この偉業は成しえなかったろう。激動の217年の光と闇、運、不運、そして熱い人間ドラマを、色彩豊かな名画とともに読み解いてゆく。
目次
序章
第1章 フリードリヒ・ヴィルヘルム・ヴァイデマン
『フリードリヒ一世』
第2章 ザムエル・ゲーリケ
『少年時代のフリードリヒ・ヴィルヘルム一世』
第3章 アントン・グラフ
『フリードリヒ大王』
第4章 アドルフ・フォン・メンツェル
『サンスーシ宮殿の食卓』
第5章 アントン・グラフ
『フリードリヒ・ヴィルヘルム二世』
第6章 F・G・ヴァイチュ
『シャルロッテンブルグ宮殿庭園の
フリードリヒ・ヴィルヘルム三世と王妃ルイーゼ』
第7章 エドゥアルト・ゲルトナー
『ブライデン通りのバリケード』
第8章 カール・シュテフェク
『散歩中のルイーゼ妃と二人の息子』
第9章 フランツ・フォン・レンバッハ
『ビスマルク』
第10章 アントン・フォン・ヴェルナー
『ドイツ皇帝即位式』
第11章 マックス・コーナー
『ヴィルヘルム二世』
第12章 ジョン・シンガー・サージェント
『ガス』
あとがき
中野京子:
作家・ドイツ文学者。北海道生まれ。『名画で読み解く ハプスブルク家 12の物語』『同 ブルボン王朝 12の物語』『同 ロマノフ家 12の物語』『同 イギリス王家 12の物語』(すべて光文社新書)、『怖い絵』シリーズ(角川文庫)、『名画の謎』シリーズ(文藝春秋)、『残酷な王と哀しみの王妃』(集英社文庫)、『美貌のひと』(PHP新書)、『そして、すべては迷宮へ』(文春文庫)など著書多数。日本経済新聞をはじめ、新聞・雑誌に多数の連載を抱える。「怖い絵」展では、特別監修を務め、大人気を博す。
以下、手持ちの中野京子の刊行本より。
「名画で読み解く ハプスブルグ家12の物語」
2008年8月15日初版1刷発行
発行所:株式会社光文社
「名画で読み解く ブルボン王朝12の物語」
2010年5月20日初版1刷発行
発行所:株式会社光文社
「名画で読み解く ロマノフ家12の物語」
2010年5月20日初版1刷発行
発行所:株式会社光文社
「名画で読み解く イギリス王家12の物語」
2017年10月20日初版1刷発行
発行所:株式会社光文社
「『絶筆』で人間を読む 画家は最後に何を描いたか」
NHK出版新書
2015年9月10日第1刷発行
発行所:NHK出版
「美貌のひと 歴史に名を刻んだ顔」
PHP新書
2018年6月29日第1版第1刷
発行所:株式会社PUP研究所
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