川上未映子の「先端で、さすわ さされるわ そらええわ」(ちくま文庫:2021年4月10日第1刷発行)を読みました。4月の購入してもう6月、正直言ってこれを書くのは荷が重い。ブログに書くのが延び延びになってしまいました。デビュー作「乳と卵」以来、少しは読んでいたので(最近はあまり読んでないが)仕方がない。なんとかでっち上げるとしましょう。
すべてはここから始まった──
川上未映子、創造の原点。
よるべなき虚空をゆく一個の疑問符は何を貫き、何に融けるのか?“少女”という憑坐を得て、いま言葉はうたい、さわぎだす。圧倒的新星の伝説的デビュー作を含む7編、ここに爆誕。
本のカバー裏には、以下のようにあります。
「ねえ、わたしの一等好きな意味は、どうして。 」(「先端で、さすわ さされるわ そらええわ」) このことばを書き終えたところから川上未映子の文筆における創造は始まった。純粋にして巨大な疑問符は既知の世界を圧倒的な速度と鋭さで切り裂き、清新なヴィジョンを次々に現前せしめていく――伝説的デビューを飾った表題作を含む珠玉の7編、第14回中原中也賞に輝く第一詩集が待望の文庫化!
いや~っ、これが「詩」だとは、驚きました。「詩」とはなにか?ということが僕は分かっているわけではありませんが、それにしてもこれが「詩」とは!
なんか、むかし、読んだことがあるのを覚えているのですが、はて、なにで読んだのか?文芸雑誌にその一部が載っていたのか?今となっては分かりませんが、たしかに読んだ記憶がかすかにあります。
以下は、(少し長いが)第14回中原中也賞を受賞した経緯とその評価です。
第14回中原中也賞には、平成19年12月1日から平成20年11月30日までに刊行された現代詩の詩集184点(うち推薦詩集7点)が寄せられました。平成21年2月14日、応募作品の中から最終選考作品として選ばれた7作品を対象に、山口市湯田温泉の旅館西村屋で選考会を開催し、審議の結果、第14回中原中也賞は川上未映子さんの『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』(青土社)に決定しました。
選考経過
公募、推薦の詩集184冊について本年1月に開催された推薦会の検討の結果、川上未映子『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』、中筋智恵『夏虫の巣』、小川三郎『流砂による終身刑』、松本秀文『白紙の街の歌』、高岡力『新型』、浅野言朗『2の6乗=64/窓の分割』、鳥居万由実『遠さについて』の7冊が選ばれて、本日の選考会の対象とされた。これらはそれぞれ独特な文体をもった有力な詩集だったが、一冊ずつについて詳しい検討が重ねられ、その中で三つの詩集に評価が絞られた。まず、鳥居万由実の詩集については、ことばの嘘に自覚的な植物的に繊細な世界に信頼が集まった。次に高岡力の「新型」が、現実的な世界を反転させる快活な語り口や、批評力をもっていることが評価された。
しかし、それら以上に川上未映子の従来の詩の概念をはみだした、渦を巻いて展開する力動的な語り口に、高い評価が集まった。多くは女性の性的な身体やその部位のもつ痛みや快楽の感覚が、突発的な笑いを起す連想によって語られるが、それが常に観念によって媒介されているところに、詩の新しさが認められた。選考会は川上さんの出現によって、新しい詩の領域が切り拓かれたことに強い感銘を受けた。
「先端で、さすわ さされるわ そらええわ」は、以下の7編よりなります。
目次
先端で、さすわ さされるわ そらええわ
少女はおしっこの不安を爆破、心はあせるわ
ちょっきん、なー
彼女は四時の性交にうっとり、うっとりよ
象の目を焼いても焼いても
告白室の保存
夜の目硝子
川上未映子:
1976年8月29日大阪府生まれ。『夢みる機械』(2004年)、『頭の中と世界の結婚』(2005年)など3枚のシングルと3枚のアルバムをビクターエンタテインメントより発表。2005年「先端で、さすわさされるわそらええわ」(『ユリイカ』05年11月号)で文筆家デビュー。2006年随筆集『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』を刊行。2007年初めての中編小説「わたくし率イン歯ー、または世界」(『早稲田文学0』)で第137回芥川賞候補となる。同年第1回坪内逍遥賞奨励賞を受賞
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