府中市美術館で「ぎこちないを芸術にした画家 与謝蕪村」を観てきました。今回は後期、観に行ったのは、4月22日のことでした。
与謝蕪村「ぎこちない」を芸術にした画家
「ぎこちない」蕪村の話
展覧会の構成は、以下の通りです。
Ⅰ 「ぎこちない」からのスタート
蕪村と丹後
Ⅱ 二つの仕事―中国風の絵と俳諧の絵
中国風の絵
俳諧の絵
蕪村と芭蕉庵
蕪村と応挙、呉春
広がる蕪村の「ヘタウマ」的スタイル
Ⅰ 「ぎこちない」からのスタート
蕪村と丹後
Ⅱ 二つの仕事―中国風の絵と俳諧の絵
中国風の絵
俳諧の絵
蕪村と芭蕉庵
蕪村と応挙、呉春
広がる蕪村の「ヘタウマ」的スタイル
Ⅲ 「ぎこちない」を芸術にした画家
「苦み」を味わう芸術
「かわいい」を楽しむ芸術
「光と空気と情感」の芸術
記念写真コーナー
イラスト&コラム 「ぎこちなさ」を追いかける
「府中市美術館」
2000年10月、都立府中の森公園内に開館。所蔵品展のほか、江戸絵画から近・現代美術まで、幅広いテーマで展覧会を開催している。恒例の「春の江戸絵画まつり」は2021年で17回目。「かわいい江戸絵画」(2013年)、「動物絵画の250年」(2015年)、「ファンタスティック 江戸絵画の夢と空想」(2016年)、「リアル 最大の奇抜」(2018年)、「へそまがり日本美術 禅画からヘタウマまで」(2019年)、「ふつうの系譜 「奇想」があるなら「ふつう」もあります 京の絵画と敦賀コレクション」(2020年)など、既存の美術史にとらわれない、ユニークな企画で話題を集めている。
「上手い」でみなく、「下手」でもなく―
「ぎこちなさ」から生まれた芸術
深く静かな趣をたたえる自然の中の情景、飄逸で洒脱な俳画、そして、どう見ても気色の悪い、いわば苦みを発散する人物画。そのどれもが、与謝蕪村(1716─83)が到達した晩年の画境です。とりわけ自然の情景を描いた作品が絶賛される蕪村ですが、さまざまな作品を見渡せば、個性と深みと面白みにあふれ、まるで絵画のおもちゃ箱を見るような楽しさがあります。
蕪村は、晩年より前から、日々大忙しの人気画家でした。ときには中国絵画そのものを思わせる見事な技を見せたり、流麗で美しい線やフォルムでうならせたりもします。しかし、それ以上に多くの作品に感じられるのが、線描や形のぎこちなさと、そこから生まれる親しみやすさ、かわいらしさです。下手だということではありません。蕪村自身がその面白さを自覚して、意図的に表現しているとしか思えないのです。朴訥さと力強さの境に、あるいは、か細さと揺らめきの狭間にあるような、きわめてデリケートなぎこちなさや頼りなさが、初期から晩年まで、蕪村の絵の根幹にあるように見えます。
そんな蕪村のこだわりに注目しながら、約100点の作品を集めました。
それによって、「晩年の情景絵画だけではない」新しい蕪村のストーリーに目を向けてみたいと思います。
「ヘタウマ」のマンガに慣れ親しんでいる私たちには、蕪村やその時代の京都の人々と同じ感性が、きっと備わっているはずです。
「府中市美術館」ホームページ
与謝蕪村
「ぎこちない」を芸術にした画家
2021年3月13日 初版第1刷発行
編著者:府中市美術館
発行所:株式会社東京美術
過去の関連記事:
府中市美術館で「ぎこちないを芸術にした画家 与謝蕪村」(前期)を観た!
府中市美術館で「へそまがり日本美術 禅画からヘタウマまで」を観た!その1
府中市美術館で「へそまがり日本美術 禅画からヘタウマまで」を観た!その2
府中市美術館で「江戸の人物画 姿の美、力、奇」(後期)を観た!
府中市美術館で「江戸の人物画 姿の美、力、奇」(前期)を観た!
府中市美術館で「歌川国芳―奇と笑いの木版画」展(後期)を観た! 府中市美術館で「歌川国芳」展(前期)を観た!
府中市美術館で「ターナーから印象派へ 光の中の自然」展を観た!
府中市美術館で「山水に遊ぶ 江戸絵画の風景250年」展を観た!