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東京都美術館で「世紀の日本画」(後期)を観た!

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今回の展覧会の見どころは、重要文化財が6点、出品されること、前後期で作品を総入れ替えし、総数120点もの日本画の名作が観られるということ、その名作は全国約60カ所から集められたものであること、また、現役同人の出品作は、日本美術院賞(大観賞)を受賞作を中心に選ばれています。なにしろ近代日本画を牽引した院展オールスターズによる夢の競演で、院展の全貌が観られるというわけです。たしかに、またとない機会です。観に行かないわけにはまいりません。ということで、行ってきました。


重要文化財6点は、以下の通りです。

・狩野芳崖「不動明王」明治20年(1887)

・狩野芳崖「悲母観音」明治21年(1888)

・橋本雅邦「白雲紅樹」明治23年(1890)

・橋本雅邦「龍虎図屏風」明治28年(1895)

・下村観山「弱法師」大正4年(1915)

・今村紫紅「熱国之巻」大正3年(1914)


重要文化財6点のなかに、横山大観の作品が入っていません。それにしても日本画の優品を、幅広く集めたものです。狩野芳崖は別格として、横山大観の「無我」が明治30年(1897)、宮北千織の「うたたね」が平成14年(2002)、なんと105年もあいだが開いています。正直言って、始めて名前を知った画家もたくさんいました。また、とても日本画には見えない作品も、数多くありました。


気になった作品はたくさんあるのですが、ここでは二つ、あげておきます。一つは前田青邨の「知盛幻生」、もう一つは北澤映月の「女人卍」です。


「知盛幻生」は、大物浦から出帆した源義経一行を嵐が襲う場面を描いた作品の続編。嵐の原因は壇ノ浦の戦で入水した平知盛の怨霊によるものだったという謡曲「舟弁慶」でも有名な場面を絵画化した作品です。戦後、世相が大きく変化していく時代に、青邨は最後まで歴史画にこだわり続けました。過去の繰り返しではない新たな歴史画の表現を探り続けました。この作品はその集大成であり、青邨86歳の老齢とは思えない気力のみなぎる作品です。


「女人卍」は、独特な容貌や線描表現が完成を見た映月65歳の代表作です。中央には豊臣秀吉の側室で歴史に翻弄され壮絶に生きた淀君を描いています。また右上にキリシタン細川ガラシャ、左上に歌舞伎の祖である出雲の阿国、右下に文学者樋口一葉、左下に俳人加賀千代女を描いています。近世近代の多彩な女性たちを卓抜な構成でまとめ、衣装も黒箔を置いた地色の上に金泥で描いています。加えて画面全体に描かれた桜の花びらは、美しく咲き、散って行った女性たちを象徴しています。


意表をついた作品、小田野尚之の「くつおと」。「作家のコメント」を以下に引用しておきます。

上野の東京国立博物館の脇に、今は駅としての役目を終えた「博物館動物園駅」の石造りの駅舎が残っています。地下の駅から地上への出口となっている部分で、かつては電車が到着して下車した人たちがだんだん上がってくる様子が、薄暗い階段の下の方から聞こえる音でもわかりました。そのときの時間の経過のような物を画面に表現しようと試みました。

展覧会の構成は、以下の通りです。
第1章 名作で辿る日本美術院の歩み
第2章 院展再興の時代 大正期の名作

第3章 歴史をつなぐ、信仰を尊ぶ

第4章 花。鳥。そして命を見つめて
第5草 風景の中で
第6章 幻想の世界
第7章 人のすがた



第1章 名作で辿る日本美術院の歩み





第2章 院展再興の時代 大正期の名作


第3章 歴史をつなぐ、信仰を尊ぶ





第4章 花。鳥。そして命を見つめて



第5草 風景の中で




第6章 幻想の世界



第7章 人のすがた

「日本美術再興院100年 特別展 世紀の日本画」

日本美術院の歴史、それはまさに近代日本画の歴史そのものです。本展は、大正3年(1914)に日本美術院が再興されてから100年になることを記念し、草創期から現在まで院展を彩った名品の数々によって、その歴史を振り返ろうとするものです。明治31年(1898)に岡倉天心によって創立された日本美術院は、大正初年には事実上の休止状態にありましたが、天心の一周忌を期して再興されました。以後、「再興院展」の名で親しまれた展覧会は今日まで継続して開催されています。その長い歴史には、狩野芳崖、横山大観、菱田春草、安田靫彦、小林古径、前田青邨、平山郁夫ら近代日本画の巨匠たちが名を連ねます。彼らの代表作に現役同人の作品を加えた重要文化財6点を含むおよそ120点を前後期で作品を全て入れ替えて紹介する、文字どおり「世紀の日本画」展です。


「東京都美術館」ホームページ


honga19 日本美術院再興100年

特別展「世紀の日本画」
図録

監修:古田亮(東京藝術大学大学美術館准教授)
編集:東京都美術館、NHK、NHKプロモーション、朝日新聞社

発行:NHK、NHKプロモーション、朝日新聞社





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