福島県美術館を訪れるのは3度目になります。観に行ったのは12月4日でした。今回は企画展は開催しておらず、常設展のみ展示されていました。常設展で観た作品は、後日、このブログに載せるつもりです。
福島県美術館で所蔵するアンドリュー・ワイエスの作品は6点、そのうちの4点を観ることができました。もちろん、過去に福島を訪れたときにワイエスの作品は観ているので、再び観たということになります。1974年に東京国立近代美術館で開催された「アンドリュー・ワイエス展」が、僕のワイエスとの出会いの最初でした。以来、ずっとワイエスを見続けてきました。しかし、日本で「アンドリュー・ワイエス――創造の道程」の巡回展の間、アンドリュー・ワイエスは2009年1月16日、チャッズ・フォードでお亡くなりになりました。91歳でした。
以下、過去の書いたブログの記事を引用しておきます。
カーナー家ですが、ドイツからの移民だそうです。渡米してからもアメリカに馴染めずに、田舎町チャッズ・フォードに移り、農場を借りてやっと穏やかな暮らしができるようになったという。「ドイツ人の住むところ」と「松ぼっくり男爵」は、彼らのアイデンティティを表現した作品となります。作品の題名のガニング・ロックスは、ワイエスの家があったポート・クライドの沖に浮かぶ島です。モデルは、ウォルター・アンダーソン、フィンランド人とネイティヴ・アメリカンの混血で、亡くなるまで50年あまり、ワイエスのモデルを務めました。「そよ風」のモデル、亜麻色の髪の少女「シリ」は、ワイエスはクリスティーナの葬儀の時に始めて見たと言っています。「死の灰から生命が甦るようにして、クリスティーナを引き継いだ」。クリスティーナは悪化と衰弱の象徴、一方、シリは生き生きしていて湧き出るような、力に満ちたもので、生命のほとばしり以上のものだと、ワイエスは言います。シリはフィンランド人、ジョージ・エリクソンの娘で、彼もワイエスのモデルを務めています。
「冬の水車小屋」は、僕の好きな作品のひとつです。もっともワイエスらしさの少ない作品かとも思いますが、なんとワイエスは、「他の画家と違って、私の描く冬景色は叙情的なものではない。いや断じて違うね。私の作品のなかでは、あの素晴らしい寒々とした寂寥感、静謐で凍てつくような冬の現実が捉えられているのだ」と、自信のほどを示しています。「農場にて」は、カーナー家の薪小屋を描いたものです。モデルはカール・カーナーの息子、カール・ジュニアで、今回の展覧会のなかでは最も新しい、ワイエス70歳の作品です。この作品の習作も多数出されており、カール・ジュニアが薪割りの手を休め、薪の上に腰を下ろして一息ついているさまが描かれています。ワイエスは、「不揃いでおおざっぱに割られた薪の上に当たる陽の反射の様子が素晴らしかった」と語っています。
福島県立美術館のアンドリュー・ワイエス作品
以下の2点は、今回展示されていませんでした(貸し出し中か?)。
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