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秋田県立美術館で「壁画《秋田の行事》からのメッセージ」を観た!

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展覧会に寄せて

高階秀爾(秋田県立美術館美術顧問)

藤田嗣治(1886-1968)は、今からちょうど100年前の1913年、27歳の時にフランスに渡り、第一次世界大戦後のパリで華々しく登場し、画家として揺るぎない名声を確立しました。第二次世界大戦中は、いったん日本に帰り、戦後ふたたびパリに戻って、晩年はフランス国籍を取得し、“世界のフジタ”として絵画の歴史に名を残しました。その長く豊かな画業は、パリの人々を驚嘆させた「乳白色の地」の豊穣な裸婦像に代表される最初のパリ時代、「秋田の行事」をはじめとする多くの傑作を残した日本での活躍期、そして戦後のフランス時代、と大きく三期に分けられますが、なかでも日本に残る最大の作品「秋田の行事」は、フジタの卓越した技量と壮大な構想力をよく示すものです。今回の展覧会では、この記念すべき大作を中心に、藤田の実り豊かな画業を辿ります。


秋田県立美術館で「壁画《秋田の行事》からのメッセージ」を観てきました。観に行ったのは、11月6日(水)でした。今までの藤田の展覧会は、「乳白色」と「戦争画」という落差の大きなものでした。その間を埋めるのが、ポーラ美術館所蔵の「子供」をテーマにしたもの。それにしても、今回の「秋田の行事」には驚きました。


もちろん今回の秋田行きは、藤田の壁画「秋田の行事」でした。これは大きさ(縦3.65m×横20.5m)といい、その詳細な描き方といい、もう圧倒されました。藤田は現地に滞在し、15日間で一気呵成に描かれたという。そして今まで剰り知られていなかった藤田の「1930年代」の作品。特に藤田の中南米やラテン・アメリカ、そしてアジア旅行から生まれた作品は、予想以上の驚きががありました。「ブラジル珈琲店壁画」の一部「大地」も、素晴らしい作品でした。


また、連合国クラブからの依頼を受けて描いた「油絵金屏風」です。その「花鳥図」2点をデジタル撮影して原寸大に再現展示されていました。水辺に集う鴨や鵞鳥を描いた「水鳥」と、鶏や雉などの「陸鳥」の対作で、高さ1.5m弱、幅約7mもあります。背景には金箔を貼り、狩野派風花鳥図を踏襲しつつ、猫や植物も盛り込んだ装飾図になっています。


《秋田の行事》の主題とモティーフ






モデルの変遷―ユキからマドレーヌへ


画室の変遷―メキシコ風から日本風へ

中南米旅行と《大地》の誕生


民族への関心―ラテン・アメリカとアジア

パリへの郷愁

藤田嗣治が描いた花と鳥

藤田嗣治の1930年代

壁画《秋田の行事》からのメッセージ

平野政吉の美術館構想を受けて、1937年に制作された「秋田の行事」には、秋田の祭り、年中行事、日々の暮らし、産業などが展開しています。それは、藤田嗣治が愛惜の思いを寄せた日本の原風景でもありました。本展では、「秋田の行事」と壁画「大地」をあわせて展観し、中南米から日本への画業を辿り、「秋田の行事」が放つメッセージを読み解きます。また、幻の美術館構想、制作現場となった米蔵の調査成果を紹介、さらに藤田の絵画技法が乳白色から多彩な色彩へと変容する1930年代の作品群を、科学調査の成果とともに解説します。


「秋田県立美術館」ホームページ


とんとん・にっき-aki19

秋田県立美術館開館記念特別展

壁画《秋田の行事》からのメッセージ

藤田嗣治の1930年代

2013年9月28日~11月10日

図録

企画構成:

佐藤幸宏(美術史家・北海道立文学館学芸主幹)
公益財団法人平野政吉美術財団

編集:
公益財団法人平野政吉美術財団

発行日:

2013年9月28日




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