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「歌舞伎座の歴史と第5期歌舞伎座における継承」を聞いた!

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武庫川女子大学東京センター主催 講演会シリーズ「わが国の近代建築の保存と再生」、今回は第8回「近代和風建築の保存と再生」というテーマでした。プログラムは、「和風から見た近代和風建築」(日本大学理工学部:大川三雄教授)、「洋風から見た近代和風建築」(京都工芸繊維大学教授:石田潤一郎教授)、それぞれテーマに添った講演がありました。


そして3番目に、三菱地所設計の野村和宣氏による「歌舞伎座の歴史と第5期歌舞伎座における継承」という講演がありました。順序は逆ですが、ここでは僕の興味の赴くままに、野村氏による歌舞伎座の話を、以下に載せておきます。野村氏の話は以前、「工業倶楽部」「三菱一号館」と、二度ほど聴いたことがあります。


野村和宣氏(株式会社三菱地所設計)

1964年東京都生まれ。東京工業大学建築学科卒業、東京工業大学大学院建築学修士課程修了。1988年~2001年三菱地所株式会社、2001年より株式会社三菱地所設計、現在同社建築設計四部担当部長。主な建築作品に「日本工業倶楽部会館・三菱UFJ信託本店ビル」、「三菱一号館復元計画」、「東京中央郵便局保存棟計画」、「歌舞伎座建替計画」など。


以下は、配付された資料による。


歌舞伎座の歴史と概要


第1期(明治22年竣工

初代(第1期)の歌舞伎座は、演劇改良運動に熱心だった福地玄一郎が中心となって、自らの理想を実現すべく、1889年(明治22年)11月21日に開場しました。外観は洋風でしたが、内部は日本風の檜づくりでした。演劇のジャンルをそのまま劇場の名称としましたが、当時は市村座・新富座などのように座元の名前や地名をつけるのが普通でしたので、歌舞伎座はその存在自体が大変斬新な劇場だったのです。


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第2期(明治44年増築/大改造)

1911年(明治44年)に、潤日本式の宮殿風に大改築され、第2期歌舞伎座が誕生します。1914年(大正3年)からは松竹合名社(現在の松竹株式会社)が工業の一切を受け持つようになりますが、1921年(大正10年)10月、漏電により焼失します。


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第3期(大正13年竣工)

新しい劇場を建設途中の1923年(大正12年)9月1日、関東大震災に遭い、工事が一時中断しましたが、3年の空白を置いて、1924年(大正13年)12月、奈良朝に桃山様式を併せた大殿堂、第3期歌舞伎座が落成しました。そして、時代は昭和へ。歌舞伎座は黄金時代を迎えます。十五世羽左衛門・六世菊五郎・初世吉右衛門などの名優が活躍し、日本を代表する劇場としての地位を揺るぎないものにしました。しかし、1945年(昭和20年)5月の大空襲により、外郭を残して焼失します。設計:岡田信一郎


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第4期(昭和25年改修)

空襲により劇場の大部分が失われましたが、戦後、破壊を免れた基礎・側壁・屋根の一部を活用し、修理工事を行いました。物資の乏しい時期でしたが、第4期歌舞伎座は、第3期のデザインを再現しながら、近代的な設備を取り入れ、1951年(昭和26年)1月に再建されました。戦後復興の時代、社会の価値観が大きく変化するなかで、歌舞伎にとって大変厳しい時代を迎えますが、その間も、歌舞伎座は数多くの名舞台を送り出してきました。その後、襲名披露興行や海外後援などの評価により苦しい時代を乗り越えた歌舞伎は、今日の隆盛を迎えます。設計:吉田五十八


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第5期(平成13年竣工)

第4期歌舞伎座の瓦屋根、唐破風、欄干等の特徴的な意匠を踏襲、従来通りの存在感のある和風意匠の趣とすることにより、歴史と景観の継承を図りました。同時にバリアフリー対応や耐震性の向上、緑化をはじめとする環境対策など様々な機能を兼ね備え、背景には、日本建築の捻子連子格子をモチーフとした品位あるデザインのオフィスタワーが建ち、銀座の街並みと調和する端整な建物となりました。伝統と創造が融合した、新しい時代に相応しい劇場です。


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新生歌舞伎座(第5期)の計画


所在地 :東京都中央区銀座4-12-15

主要用途:劇場・店舗・事務所

発注者 :歌舞伎座

       KSキャピタル特定目的会社

設計監理:三菱地所設計

       隈研吾建築都市設計事務

施工 :清水建設

延床面積:93,530.40㎡

構造 :地下SRC造、地上S造

階数 :地上29階、地下4階、塔屋2階

高さ :建物137.5m、最高145.5m

工期 :設計 2008/1~2010/9

     施工 2010/10~2013/2


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番号=第4期古材使用


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「歌舞伎座」ホームページ

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