「ゲージュツ見てある記」、2011年（1月～12月）のまとめ

「ゲージュツ見てある記」、2011年（1月～12月）のまとめを、以下に載せておきます。なんと驚いたことに昨年1年間で「ゲージュツ」関連の書いた記事が178回、月になおすと14.8回、1ヶ月の約半分は「ゲージュツ関連」の記事を書いていたことになります。数年前までは、月に4～5回、つまり週1回ほど、美術館に足を運べればいいかなと考えていたのですけど・・・。いや、自分でもビックリです。

4月分が少ないのは、4月11日から20日まで「オランダ、ベルギー、ルクセンブルク,10日間の旅」へ行っていたことによります。教会2件と美術館5件を観て回りました。また、盛岡美術館、旭川美術館、山寺後藤美術館で観たものについては、別枠としました。意外にも「陶磁器」類は鍋島展のみでした。「浮世絵」の展覧会も少ない年でした。僕個人としては、松本竣介の作品をよく観て回った年でした。INAXギャラリーで観た回数が多かったのは驚きです。バラエティーにとんだ質の高い作品が、しかも無料で観られるというギャラリーです。

建築・デザイン関係では、僕の中では「メタボリズムの未来都市展」はダントツでした。メタボリズムの理論的な支柱であった菊竹さんは、展覧会の最中にお亡くなりになりました。「白井晟一」は順当ですね。「シャルロット・ペリアン」と「ウィーン工房」は知らないことが多かったので、勉強になりました。彫刻関連は、「空海と密教美術」と「円空」には圧倒されました。忠良さんは世田谷美術館の「佐藤忠良展」の最中にお亡くなりになりました。宮城県美でも忠良の作品を観て回りました。「アナツイ」は、アートブロガーとして招待されて、講演を聞くことができました。松岡の常時展示してある「ガンダーラ・インド彫刻」は、もう定番ですね。

さて、「日本画」部門、「琳派芸術」「五百羅漢」「酒井抱一」は、どれを取っても素晴らしい。畠山記念館もありましたが、やはり「出光美術館」と「山種美術館」は、手持ちの作品も、も企画力も群を抜いています。そごう美術館の「鏑木清方と東西の美人画」展、これが質が高い作品ばかり、しかも全部福富太郎コレクションだというから驚きました。太田記念館の「国芳展」、これは圧巻でした。「国芳展」は、その前の年に「府中」でも、また今年は「森美術館」でも、毎年のように開催されています。山種のBOSTON美術館展は、以前にやった江戸博の後編の様な位置づけでした。

「洋画系」、これはもう「フェルメールからのラブレター展」でしょう、仙台で観て、Bunkamuraで観て、2回も観に行きました。もちろん、4月に行ったオランダ旅行で、「マウリッツハウス美術館」と「アムステルダム美術館」を観ているので、僕にとっては2011年は「フェルメール年」でした。同じく「レンブラント」も同じ美術館でたくさん観ました。「ロートレック」は、僕の好きな画家で、開催されるたびに観に行ってます。他にも大きな美術館の日本展が開催されました。「ワシントンナショナルギャラリー」、「モダン・アート、アメリカン」「シュルレアリスム」を観ると、その歴史がよくわかりました。東近美の「ぬぐ絵画、日本のヌード」はそれぞれよく観ている作品ばかりですが、その切り口がいい。よかったですね。「青木繁展」も、神話との関わりが、分かり易かったように思います。「磯江毅展」と「犬塚勉展」、精緻な画面に圧倒されました。

3月11日に東日本大震災が起きました。それにより津波が発生し、東北から北関東にまで至る地域は壊滅的な被害を被り、福島原子力発電所も破壊され、放射能を撒きちらしていて、いつ終息するのか、未だにはっきりしたことはわかりません。そうしたなか、東北の美術館も建物に大きな被害を受け、一時休館するところもありました。そのために予定していた美術展も、その幾つかは海外から美術品を借りることができなくなり、中止せざるを得ない状況に陥り、また建物に被害を受けた美術館は展覧会も延期せざるを得ませんでした。そうしたなか、美術展など開いていいものか、あるいは観にいっていいものか、みなさんが悩まれたことでしょう。しかし、復興の足跡は、遅々とはしていますが、遠くから聞こえてきます。今年もよい年でありますように願ってやみません。

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