「東京鉄道遺産を歩く」ということで、いつもの仲間たちと一緒に、今度の土曜日に小野田滋さん(鉄道総合技術研究所)の案内で、御茶ノ水駅西口から中央線・総武線に沿って両国駅まで歩くことが決まりました。さて、どんなところを歩くのか? JR御茶ノ水駅と地下鉄御茶ノ水駅のモダニズム建築、神田川橋梁、御茶ノ水橋梁、万世橋高架橋、万世橋架道橋、御茶ノ水両国間市街線、秋葉原駅の構造、隅田川橋梁、等々がリストに上がっています。
その前に小野田さんの書かれた「東京鉄道遺 『鉄道技術の歴史』をめぐる」(講談社ブルーバックス:2013年5月20日第1刷発行)を読んでおくと、当然のことながら現場での説明がよく分かるようなので、さっそく購入して読んでみました。
どんな内容の本なのか? 本の裏表紙には、以下のようにありました。
東京に蓄積する「鉄道遺産」の数々
日本初の鉄道が開業した東京には、明治以来、数多くの路線が建設されてきた。そのため、あらゆる時代、あらゆる種類の鉄道構造物が集積し、今も鉄道輸送を支え続けている。本書では、東京の鉄道遺産を訪ねながら、その歴史や技術史的な見どころを専門的な視点で紹介。鉄道技術史研究の第一人者が執筆した、本格的な解説書。
小野田滋:略歴
1957年愛知県生まれ。日本大学文理学部応用地学科卒業。1979年日本国有鉄道入社。東京第二工事局、鉄道技術研究所勤務を経て、分割民営化後は、鉄道総合技術研究所、西日本旅客鉄道(出向)、海外鉄道技術協力協会(出向)などに勤務。現在は鉄道総合技術研究所勤務。NHK「ブラタモリ」にも出演。工学博士(東京大学)。著書に、「高架鉄道と東京駅(上)(下)」(交通新聞社)、「鉄道と煉瓦」 (鹿島出版会)、「鉄道構造物探見」(JTB)など。
まず始めに、この本で紹介される構造物のほとんどは現役なので、「遺産」という言葉に違和感を覚える方がいるかもしれないが、後世に伝えるという意味での「遺産」であって、決して過去の「遺物」という意味ではない、と小野田は述べています。最近では「世界遺産」の影響で「遺産」という言葉もポジティブに解釈されるようになったが、本書の「遺産」も同様の趣旨です。また、「全国」ではなく、「東京」に限定したのは、あらゆる時代、あらゆる種類の構造物が「東京」に集積し、鉄道輸送を支えているからである、と小野田は言う。
この本の構成は、以下の通りです。
Ⅰ 駅をめぐる
Ⅱ 橋梁をめぐる
Ⅲ 高架橋をめぐる
Ⅳ トンネルをめぐる
以下に各章の代表的な項目を載せておきます。
Ⅰ・4 上野駅 ターミナルの風格
台東区 1932年完成
Ⅱ・7 晴海橋梁 新技術への挑戦
中央区/江東区 1957年完成
Ⅲ・4 東京上野間市街線 進化するラーメン式高架橋
千代田区/台東区 1925年完成
Ⅳ・3 道灌山トンネル もうひとつの山手線のトンネル
北区 1903年完成/1928年廃止
小野田滋さん(56)タは、モリが東京都内を散策するテレビ番組「ブラタモリ」(NHK)にも度々登場しているようで、僕らの仲間で度々話題になっていました。残年ながら「」ブラタモリ、僕は見たことがないのですが・・・。
この本は、交友社の発行する「鉄道ファン」という雑誌に小野田が連載した「東京鉄道遺産をめぐる」という記事を中心に、いつかの刊行物に掲載した記事を再構成したもの(一部は書き下ろし)、だそうです。どこにどんな構造物があるのか、構造物の形式や特徴は何かといった知識だけではなく、その構造物が技術史のどのような系譜に位置し、それに技術者がどのようにかかわったのか解説することを心がけた、という。
つい先日、万世橋高架橋の商業施設「mAAch ecute(マーチ エキュート)神田万世橋」が2013年9月14日(土)にオープンするとういニュースがありました。2006年4月に交通博物館が大宮に移転するので、旧万世橋遺構の特別公開に行ったことがありました。
「旧万世橋駅遺構特別公開」に行って来ました!
いつもよく行く有楽町のガード下で、先日も友人と明るいうちから飲んできました。煉瓦造のアーチ型天井を見るたびに、近代日本の技術の蓄積を思わずにはいられませんでした、とは表向きの話で、高架橋の上を走る山手線や京浜東北線の心地よい音を聞きながら、冷房もないガード下で飲むビールはまた格別です。