パナソニック汐留ミュージアムで開館10周年記念特別展「幸之助と伝統工芸」ブロガー向け特別内覧会に応募したところ、運良く招待を得ることができました。2013年5月30日、夜、特別内覧会に行ってきました。担当学芸員である岩井美恵子さんによるギャラリートークが約45分行われ、その後、自由内覧という進行でした。今回の展覧会は、初出品作品約60点を含む松下幸之助ゆかりの工芸作品計約90点(作家数計65人)を一堂に会し、その芸術を紹介していました。「ものづくりの心」をあらわす工芸が文化の発展に寄与するということを祈っていた松下幸之助の思考に触れる絶好の機会でした。
やきものファンなら誰しも憧れる「萬歴赤絵」、「萬歴赤絵桝水指」と、中期から展示されている背が高く堂々とした「萬歴赤絵方尊式花瓶」を観ることができました。また同じく中期展示の「双蛸図漆貴重品筥」、外もぴっちりとつくられていますが、中がすごい。展示では中は見れないので、学芸員の方に中の写真を見せていただきました。
松下幸之助ほどの人なら、絵画も相当数所有していたに違いない、と思います。優品も多数あると思うので、機会があれば、そちらの方も公開していただきたいものです。また、幸之助の戦前からのお住まい、和風の素晴らしいものだったようで、茶室などと併せて、こちらも是非とも公開していただきたい。なにしろ和風建築は関西が本場なものですから。
展覧会の構成は、以下の通りです。
第1章 素直な心―幸之助と茶道―
第2章 ものづくりの心―幸之助と伝統工芸―
いただいた「報道資料」から、今回の「展示概要」を、以下に載せておきます。
第1章では、松下幸之助が出会い、そこに「素直な心」をみた、茶道に係る作品をご紹介します。当時の経済界同胞からたしなみのひとつとして茶道を勧められていた松下幸之助でしたが、実際に彼がたしなみ始めたのは40歳を過ぎてからのことでした。しかし、裏千家十四代家元である無限斎宗室と親交を深めながら、裏千家老分を務め、「宗晃」という茶名も受けるなど、茶道は幸之助の生き方の核となっていきました。一方、使用する茶道具は当時の数寄者たちとは少し異なり、現代作家のものを多く使用していたようです。元来人間そのものに関心の強かった松下幸之助は、「もの」を生み出す作家に興味をひかれたと考えられます。
第2章では、松下幸之助が京都や大阪の工芸家を通じて、日本の伝統工芸に関心を寄せる契機となった作家らの作品を展示します。そして展示の目的として収集した重要無形文化財保持者いわゆる人間国宝を中心とした作家たちの作品と、東京国立近代美術館及び個人所蔵の縁の深い作家たちの作品を加えて紹介いたします。
第1章 素直な心―幸之助と茶道―
第2章 ものづくりの心―幸之助と伝統工芸―
注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。
松下幸之助ゆかりの
「萬歴赤絵」
開館10周年記念特別展「幸之助と伝統工芸」
「経営の神様」と呼ばれる松下幸之助(1894-1989)が我が国の伝統文化に理解を示し、その普及と支援していたことはあまり知られていません。美術品を見る目は持ち合わせていないと言いながらも、実際には、多年にわたり絵画から工芸作品にいたるまで美術品を収集したり、公益社団法人日本工芸会などの団体の役員を務めるなど、文化支援活動を続けていました。本展では、このような松下幸之助と伝統文化との関わりをご紹介します。松下幸之助は「素直な心」を生涯大切にしていましたが、その「素直な心」を育てる道が茶道にあると考えるようになりました。そして茶道具に触れるうち、その関心は工芸家に向けられるようになったのです。陶芸、染織、漆芸、金工、木竹工、人形、截金など、さまざまな素材を駆使し、伝統的なわざを絶やさず時代の息吹を取り入れることによって成立する日本の工芸作品。松下幸之助は「伝統工芸は日本のものづくりの原点である」と確信し、このような作品を作り出す工芸家を支援することで、「ものづくりの心」を未来に伝えていきたいと考えました。本展は、初出品作品約60点を含む松下幸之助ゆかりの工芸作品計約90点(作家数計約65人)を一堂に会し、その芸術を紹介します。「ものづくりの心」をあらわす工芸が文化の発展に寄与するということを祈っていた松下幸之助の思考に触れていただく絶好の機会となります。
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