三井記念美術館で恒例の「三井家のおひなさま」を観てきました。年末は円山応挙の「雲龍図」、年始は円山応挙の国宝「雪松図屏風」が展示される、というのが三井記念美術館の近年の定番になってきているようです。そして同じく2月から3月にかけては「三井家のおひなさま」です。何度か観ていますが、高貴な家柄のお方は「おひなさま」も贅を尽くしたもので、置く場所さえないウサギ小屋に住む庶民には、とてもとても手が届きません。そんなわけでいつものことですが、羨望の眼差しで観てきました。展覧会場は、思っていた以上のたくさんの人で賑わっていました。
展示室2 茶道具の名品
「斗々屋茶碗 銘かすみ」
茶人が好む茶道具をつくらせる、いわゆる注文茶陶を、国内だけでなく朝鮮半島にも依頼するようになったのは、文禄・慶長の役の後、1598年以降と考えられる。その結果、高麗茶碗はみごとに豊かな作風を展開することになった。注文茶碗たる特徴として、微妙に反り上げた胴線、高台を荒々しく削る縮緬皺、高台内の兜巾があり、口縁の切り回し、見込の半ばに1本の線を篦(へら)で削り、重ね焼きの目跡を細かく6~8個、点を連ねるように残すあたりに、景色を求める作為が認められる。懐の深い本手斗々屋、浅い平斗々屋のほか、特殊な例として江戸斗々屋、利休斗々屋などがある。名の由来は、魚屋と書く場合もあるとおり、堺の納屋衆のうちの魚屋が注文に絡んだからという説や、利休が魚屋で見出したからという説などがある。注文茶碗を開始したのは利休が最初と考えられ、天正14年(1586)前後であった。その後1598年以降、朝鮮半島に注文が向けられると、高麗茶碗も見立てから注文へと主流が移った。釉はかすみのように浮かぶ淡い青が魅惑的、高台は荒々しい縮緬皺も見どころです。
展示室4 三井家のおひなさま
永印のひな人形・ひな道具―浅野久子氏(北三井家十一代・高公長女)寄贈品
小蝶印のひな人形・ひな道具―三井鋹子(北三井家十代・高公夫人)旧蔵品
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展示室5 三井家のおひなさま
巴印のひな人形・ひな道具(三井苞子〈北三井家十代・高棟夫人〉旧蔵品)
展示室6 「三井好 都のにしき」
水野年方筆 明治時代・20世紀
展示室7 特別展示「酒のうつわ」
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「三井家のおひなさま 特別展示酒のうつわ」
東日本大震災で中止となった前回展より2年、恒例の「三井家のおひなさま」展が帰ってきました。7回目を迎える本展では、三井家の夫人や娘たちが大切にしてきたひな人形やひな道具を公開いたします。北三井家十代・高棟夫人の苞子(もとこ)1869-1946、十一代・高公夫人の鋹子(としこ)1901-1976、高公の一人娘・浅野久子氏1933年生まれ、伊皿子三井家九代高長(たかひさ)夫人・興子(おきこ)1900-1980旧蔵の贅をつくした逸品が並びます。とくに京都の丸平大木人形店・五世大木平蔵が特別に制作した、浅野久子氏の幅3メートル、高さ5段の豪華なひな段飾りは必見です。江戸時代にひな人形の市が立ったという日本橋の地で、春爛漫のひなまつりをお楽しみ下さい。また展示室7では、各種酒器を紹介いたします。漆器や陶磁器、金属器など多様な、日本独特の楽しい器です。展示室1・2・3では館蔵品による茶道具の名品、展示室6では「三井好 都のにしき」(水野年方筆)を展示します。
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