高野悦子さん死去 岩波ホール総支配人、名画発掘
日本のミニシアターの草分けである岩波ホール総支配人として、世界の埋もれた名画の発掘、上映に尽力した高野悦子さんが9日、東京都文京区の病院で死去した。83歳だった。高野さんは旧満州(中国東北部)生まれ。日本女子大学卒業後、東宝を経て、パリ高等映画学院監督科に留学。1968年岩波ホール創立と共に総支配人に就任。74年から川喜多かしこ氏と共に「エキプ・ド・シネマ」を主宰し、サタジット・レイ「大地のうた」、ルキノ・ヴィスコンティ「家族の肖像」、アンジェイ・ワイダ「大理石の男」などを上映。85年から昨年まで東京国際女性映画祭のジェネラルプロデューサーを務める。2004年文化功労者。(日本経済新聞:2013/2/14)
折しも「高野悦子さん死去」のニュースが飛び込んできました。去年の12月、岩波ホールで「最初の人間」を観ました。アルベール・カミユの未完の自伝的な遺作を映画化したものでした。そのときに次回の上映作品は「八月の鯨」、25年ぶりに公開当時の字幕でニ、ュープリントのフィルム上映を行うというという案内があり、ぜひとも観に行こうと思っていました。この映画、岩波ホールでは1988年11月に、20周年記念として上映されたもので、社会的にも大きな反響があったという。今回は「岩波ホール創立45周年記念上映」と銘打って再上映されることになりました。たまたまTUTAYAに行ったところ「八月の鯨」が目に入り、ついつい借りて観てしましました。
さて「八月の鯨」ですが、ハリウッド黄金時代を支えた2人の大女優、リリアン・ギッシュとベティ・デイビスが共演した1987年公開の人間ドラマです。「撮影当時、リリアン・ギッシュ は93歳、ベティ・デイビス は79歳であった」、というのには驚かされます。2人の自然な演技も素晴らしいが、なんと妹役のリリアン・ギッシュの方が、姉役のベティ・デイビスよりも一回りも年上でした。長い人生の大半をともに過ごしてきた年老いた姉妹は、毎年夏になると海辺の小さな島にあるセーラの別荘にやってきます。老姉妹と、2人を取り巻く男女のささやかな日常を描いた作品です。
老いても少女のような無邪気で社交的な妹セーラに比べ、目の不自由な姉のリビーは人間嫌いで毒舌家と対照的な2人です。リビーは第一次世界大戦でセーラの夫が亡くなった時に彼女の面倒をみました。しかしリビーは病の縦目が不自由になり、今はセーラが2人の生活を取り仕切っています。リビーは次第に我が侭になり言葉に棘を持つようになり、セーラに依存しなければならない自分に腹を立てています。セーラはこうした姉の世話を続けてゆく自信を失いかけています。
この家を訪れるのは、幼友達の気のいいティシャ、修理工のヨシュア、そしてロシアの亡命貴族であるマラノフ氏です。みんながみんな老人です。人生の黄昏を迎えたリビーとセーラの老姉妹は、多少の行き違いはあるものの、彼らとの交流の中にささやかな憩いと生きる希望を見出します。2人が少女の頃楽しみだった8月になるとやってきた鯨は今は見ないが、「今年こそはと楽しみにしているの」というセーラの言葉に、明日への夢や希望が託されています。
以下、とりあえずシネマトゥデイより引用しておきます。
チェック:『白昼の決闘』などの女優リリアン・ギッシュとオスカー女優のベティ・デイヴィスが共演した1987年公開の人間ドラマ。小さな島の別荘で夏を過ごす老姉妹と、彼女たちを取り巻く3人の老人たちが織り成す人間模様を味わい深く描き出す。監督は、『if もしも‥‥』の名匠リンゼイ・アンダーソン。共演のヴィンセント・プライス、アン・サザーン、ハリー・ケリー・Jrと往年の名優たちによる穏やかな演技が余韻を残す。
ストーリー:メイン州の小さな島にある別荘で、毎年夏を過ごす老姉妹リビー(ベティ・デイヴィス)とセーラ(リリアン・ギッシュ)。かつて島の入り江は8月になると鯨が現われ、少女だったころの二人は鯨を見に行くのが楽しみだった。姉妹は長い間互いに支え合って生きてきたが、病気で目が不自由になった姉のリビーは周囲にとげとげしく接するため、彼女の世話をするセーラは心を痛め……。
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