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三井記念美術館で「ゆくとし くるとし―茶道具と円山派の絵画―」展を観てきました。「ゆくとし くるとし」とタイトルにあるように、12月8日から12月24日、つまり前期は円山応挙の「雲龍図」、明けて1月4日から1月26日、後期は円山応挙の国宝「雪松図屏風」が展示されるというのが三井記念美術館の目玉です。両方ともに僕は過去に観ているので、今回は年が明けてからお正月に「雪松図屏風」の方を観ることにし、「日本橋七福神めぐり」が終わってから、三井記念美術館へ観に行きました。
展示室4「円山派の絵画」には、後期9点の絵画が出されていました。そのうち円山応挙の作品が5点ありました。やはり「雪松図屏風」は何度か観ていますが圧巻でした。今回はほとんどの展示物はタイトルにあるように「茶道具」でしたが、分からずとは言え、これらも何度か観ているものばかりで、三井記念美術館のいわゆる「所蔵品展」の趣でした。
展示室5では特集展示として「高麗茶碗」が15点、展示されていました。また展示室7では、「夜咄の茶事」として普段はほとんど観ることのできない「行燈」などが展示されていました。普段なら展示室1に展示されるであろう長次郎作の重要文化財「黒楽茶碗 銘俊寛」もこの部屋に展示されていました。
展示室1 「茶の湯の名品」
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展示室2
「志野茶碗 銘卯花墻」は美濃の陶工によって造られた茶碗ですが、桃山後期独特の自由な時風がその作行きに見られます。また「黒楽茶碗 銘雨雲」は茶の湯に長じた町衆、本阿弥光悦が手捏ねした茶碗で、一椀に込めた茶の湯の想いが濃厚にうかがわれます。極めて対照的な二碗を展示室2と展示室3で観ることができました。
展示室3(如庵ケース)
中央の展示室には、織田有楽斎(織田信長の実弟、1547~1621)が京都・建仁寺境内に1618年頃に建てた茶室、国宝「如庵」を再現したものがあります。如庵」では、季節に合わせて茶道具を取り合わせて展示してあります。
展示室4 「円山派の絵画」
円山応挙筆「海眺山水図」
中央に水面が広がり、その周囲を地面が環状に囲んでいる構図は、応挙の「山水図屏風」を横方向に圧縮したもののようです。屏風における迫央構図が、横画面の掛軸にも応用されている例です。右下の丘に生える南画風の木々に重心が置かれ、ここから右回りに視線は誘導されます。
円山応挙筆、国宝「雪松図屏風」
一面の雪の中に、きらめく陽光を照り返して凛と屹立する松の姿を情感豊かに描き出しています。松は輪郭線を用いず、付立の技法で描かれています。右隻には直線的で力強い松が唯一本あるばかりで、一方左隻には曲線的で柔らかい二本の若木が配されています。雪の部分は、紙の地そのままを生かして効果的に表現されています。右隻は画面右側に重心を置き、下方から見上げるように唯一本の松のみを配しています。たくましい幹は上下をカットされ、幹が画面の外へとはずれるあたりより左下方へと直線上に枝が伸びます。大胆なフレーミングを用い、近接視点から描かれた松は、力強い生命力を見事に凝縮しています。対する左隻は、やや視点を後退させ二本の若木を捉えています。右隻徒は対照的に曲線的で柔らかな幹や枝は奥へ奥へと進み、清爽な空間の広がりを感じさせます。
展示室5 特集展示「高麗茶碗」
高麗茶碗は朝鮮半島で日常的な器として焼かれた者ですが、16世紀中頃から二本で侘茶に適った茶碗として桃山時代には大いに人気を博しました。また17世紀には日本向けの茶碗が焼かれるようになり、現存する高麗茶碗の数と種類は和物茶碗に匹敵します。
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展示室6 昌谷忠切手コレクション
三井記念美術館には、三井高陽および昌谷忠蒐集の切手コレクションが13万点余り所蔵されています。
展示室7 「夜咄の茶事」
夜咄の茶事とは、炉の季節の、当時に近い頃から立春までの間、夕暮れから行われる茶事のことです。
今日では日常的にほとんど使われなくなった茶の湯の燈火具も展示されていました。
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「茶道具と円山派の絵画」
行く年の名残をおしみ、心新たに来る年を迎える―――。辰年の歳暮には、墨画の迫力を遺憾なく発揮した円山応挙「雲龍図」をお楽しみください。年明けには、恒例となった応挙の国宝「雪松図屏風」が、清々しい気分を寿ぎます。茶道具は展示室1・2・3において国宝「志野茶碗 銘卯花墻」並びに本阿弥光悦の重要文化財「黒楽茶碗 銘雨雲」など、館蔵の名品を紹介いたします。冬季には長い夜を楽しむ茶の湯の会「夜咄しの茶事」が催されます。この茶事は温かさを旨として客を迎え、また昼の茶事では使われない各種の燈火のもとで茶事が進みます。このたび、展示室7では今年2月に開催した「茶会への招待」で紹介した「正午の茶事」に続き、「夜咄しの茶事」の趣向で茶道具類を取り合わせます。光溢れている今日では日常にほとんど使われなくなった茶の湯の燈火具も併せて展示いたします。また展示室6には昌谷切手コレクションより、オリンピック切手とエリザベス女王関係の切手を展示いたします。
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