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Channel: とんとん・にっき
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松井久子製作・監督・脚本「レオニー」を観た!

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最近出版された本の中に、「イサム・ノグチ庭園美術館」が紹介されていました。一つは赤瀬川原平の「個人美術館の愉しみ」(光文社新書)、もう一つはCASA BRUTUS「日本の美術館ベスト100ガイド」でした。四国の香川県の牟礼にあります。赤瀬川原平は、イサム・ノグチについて、次のように書いています。


イサム・ノグチは国際人である。その活躍が国際的、というより前に、国と国の間に生まれた人だ。父は英文学者で詩人の野口米次郎、母はアメリカノ作家レオニー・ギルモア。ロサンゼルスで生まれ、二歳からの幼少年期を日本で過ごす。以後はアメリカやヨーロッパなど各地を仕事場とする。はじめから「国際的、という運命を背負って生まれた人だ。


もう一つ、札幌北部にある「モエレ沼公園」、ゴミ処理上の跡地を造成した公園です。イサム・ノグチがマスタープランに参画した1998年から各施設ごとに順次オープンし、2005年にグランド・オープンしました。この公園はイサム・ノグチが目指した大地の彫刻です。遺作にして最大の作品でもあります。プレイマウンテンやテトラマウンドといって彫刻的な造形物から、ガラスのピラミッド、遊具の森、ビーチに似せた浅い池。イサム・ノグチがこだわり続けた「大地の彫刻」と「遊び」という要素が、余すところなく体感できるのです。


やはりイサム・ノグチといえば、丹下健三の建築に合わせた彫刻や、谷口吉郎が設計した慶應義塾大学の「新萬來舎」のインテリアデザイン、そして「あかり(Akari)」シリーズの照明器具です。近年では吉郎の息子、谷口吉生が設計した「土門拳記念館」の庭園にも関わっています。


「レオニー」は、ドウス昌代の「イサム・ノグチ 宿命の越境者」をもとに、松井久子監督が推敲を重ね、7年をかけて完成させた作品です。彫刻家イサム・ノグチの母親、レオニー・ギルモアの半生を描いた映画です。レオニーは、世間や時代に流されずに生きた女性であり、一言で言えばこの映画の感想は「女は強い。母は強い。」です。1901年のニューヨーク、編集者になることを夢みていたレオニーは、日本人の詩人・野口米次郎(ヨネ・ノグチ)と出会い、二人は愛しあうようになります。レオニーは米次郎の子を宿すも、米次郎は日本へ帰ってしまいます。


レオニーは、未婚のまま子供を産み、その子供を連れて見知らぬ国・日本へと渡ります。米次郎は結婚していて、米次郎がレオニーを呼び寄せたのは愛人として囲うためでした。当時の日本人男性は、女を囲うのは甲斐性の一つ、男のステータスでもあります。だがレオニーはそうした不幸を嘆いたり、男の頼ったりは一切しません。米次郎に自分から別れを告げて、息子をアメリカへ帰して、あくまでも自立の道を進みます。息子のイサムが彫刻家の道を選んだのも、レオニーの生き方から学んだものでしょう。アメリカ留学をしていた津田梅子も、新しい時代に懸命に生きてきた女性でした。また、小泉八雲の妻セツとも交流がありました。


以下、とりあえずシネマトゥデイより引用しておきます。


チェック:世界的彫刻家イサム・ノグチの母親であるアメリカ人女性、レオニー・ギルモアの波乱の生涯を描いた伝記ドラマ。ドウス昌代による「イサム・ノグチ~宿命の越境者」に感銘を受けた『ユキエ』『折り梅』の松井久子監督が、14稿に及ぶ脚本の推敲(すいこう)を重ね7年の歳月をかけて完成させた。主演は、『マッチポイント』のエミリー・モーティマー、レオニーが愛した野口米次郎には歌舞伎俳優の中村獅童。そのほか原田美枝子、竹下景子、吉行和子など実力派が脇を固める。


ストーリー:編集者になりたいという夢を持っていたレオニー・ギルモア(エミリー・モーティマー)は、ある日日本から来た青年詩人・野口米次郎(中村獅童)と出会う。やがて、二人は愛し合うようになり彼女は妊娠するが、米次郎は日本へ帰国してしまう。 一人残されたレオニーは、未婚のまま子どもを産む決意をする。

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「レオニー」公式サイト


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「イサム・ノグチ 宿命の越境者」(上・下)

著者:ドウス昌代

発売:2003年7月15日

講談社文庫


イサム・ノグチの名前は知らなくても、彼の「あかり」の連作なら誰もが見知っているだろう。シンプルな紙細工の照明器具は、デパートなどで販売されてきた「芸術作品」であり、サラリーマンでも容易に入手できることをイサムは誇りにしていたという。 本書は「ミケランジェロの再来」とも言われた彫刻家イサム・ノグチ(1904-1988)の生涯の最もプライベートな部分まで、FBI文書などの貴重な未発表資料を数多く用いて丹念に描き出す。その人生は物語の主人公のように波瀾万丈で、登場する人物も実に多彩である。22歳のイサムを「助手」として迎えた彫刻家ブランクーシ、イサムの「パトロン」としてさまざまな援助を惜しまなかった陶芸家北大路魯山人。山口淑子(李香蘭)との数年にわたる結婚生活をはじめ、その華麗な女性遍歴もつまびらかにされる。豊富な肖像写真によって、人々を引きつけてやまないイサムの魅力が生き生きと浮かび上がる。 日米の混血児として、日本のみならずアメリカでも第二次大戦前後に辛酸をなめたイサムの一生をたどる本書の焦点は、モダンであることを常に追求してきたイサムの作品の芸術的評価や分析以上に、どちらの国にも帰属し難かった彼の懊悩(おうのう)にあてられている。惜しまれるのは、もし本書が巻末に人名索引を備え、せめて数点でもイサムの代表的彫刻作品をカラーで紹介していたら、専門の研究者にとってもさらに有用なものとなっていただろうということである。


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