仙台の宮城県美術館に続いて、今度は渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで、またまたフェルメールの傑作3作品を観に行ってきました。行ったのは24日、開催2日目、3連休中の中日の土曜日でした。会場は人、人、人で、ラッシュアワー並でした。特にミュージアムショップはたくさんの人でごった返していました。
「フェルメールからのラブレター展」、フェルメールの傑作3作品が世界から集結!とチラシにあります。展示されている作品は仙台と同じですが、会場が狭いせいか、レイアウトが違っていました。図録に載せてある順番通りには会場の関係で展示できなかったのでしょう。比べても仕方がないことですが、仙台の方が会場も広く、観やすいレイアウトで、ゆっくりと観ることができました。
今回の展覧会は、メインテーマはコミュニケーション、オランダ風俗画で重要な役割を果たした手紙をはじめとするコミュニケーションをめぐる絵画作品を、4つのテーマに沿って構成してありました。展覧会の構成は、以下の通りです。大きくは3と4が仙台と違って、順番が入れ替わっていました。エドワールト・コリエルの「レター・ラック」の展示する位置が、フェルメールの3作品のあとに置かれていたのでは、かなり意味するところが違うのではないかと思いました。
1 人々のやりとり―しぐさ、視線、表情
2 家族の絆、家族の空間
3 手紙を通したコミュニケーション
4 職業上の、あるいは学術的コミュニケーション
今回は、17世紀のオランダ風俗画という視点を前面に押し出して、画像を選んでみました。
1 人々のやりとり―しぐさ、視線、表情
仕事や余暇を楽しむ民衆の姿を描く風俗画は、日常生活そのまま描かれているように見えるが、実はそうではなく、画家のアトリエで考案されたものだというから、驚きです。その多くは聖書の主題を描いた銅版画に起源を持ち、その多くが諺や格言、道徳的なメッセージを示唆している。絵のタイトルは「酒場」「宿屋」「売春宿」と区別されているが、「表は宿屋、裏に回れば売春宿」というオランダの格言そのものだったという。
2 家族の絆、家族の空間
オランダ人の家には、共に住む人々の関係が映し出されている。肖像画には、オランダ黄金時代の人々の様子が表され、家族の肖像画は、結婚による調和や愛情が表されている。召使いと女主人を描いた作品が多いが、実際に召使いがいた家庭は全体の1~2割にすぎなかったという。
3 手紙を通したコミュニケーション
オランダは17世紀のヨーロッパで最も識字率が高く、手紙のやりとりが急速に増えた地域だった。手紙は個人の気持ちや感情を伝えるという考え方が一般的となり、画家は手紙によってもたらされる感情の動きを探求した。オランダの風俗画において、手紙を読む女性の姿は愛に関連した場合が多く、背景の壁の地図は遠方にいる恋人を示唆する。画中の海景画では、海は愛、船は恋人を表していた。「家から遠くにあっても、心は離れていない」という銘文は、これをよく表している。
4 職業上の、あるいは学術的コミュニケーション
読み書きの能力は商業国オランダで様々な職業において重要視され、絵画作品においては弁護士や公証人などが、商売に関わるコミュニケーションや経営の手助けをする場面が描かれた。伝統的な主題である書斎の学者像は、古い大学都市ライデンの知的な環境とも結びつけることができる。当時は、学術雑誌や学会誌に加えて、化学書屋新聞などの印刷物を介したコミュニケーションも盛んだった。
「フェルメールからのラブレター展」
オランダ黄金期の巨匠、ヨハネス・フェルメール。精緻な空間構成と独特な光の質感をあわせもつ作品群は、今なお人々を魅了してやみません。現存する30数点のフェルメール作品のなかでも、日常生活に密やかなドラマをもたらす手紙のテーマは、重要な位置を占めています。本展は日本初公開となる《手紙を読む青衣の女》をはじめ、《手紙を書く女》、《手紙を書く女と召使い》の3作品が一堂に会するまたとない機会です。さらに、同時代に描かれた、人々の絆をテーマにした秀作も併せて紹介し、人物のしぐさや表情、感情の動きに注目することで、17世紀オランダ社会における様々なコミュニケーションのあり方を展観していきます。
図録
監修:千足伸行
編集:博報堂DYメディアパートナーズ
京都市美術館
宮城県美術館
Bunkamuraザ・ミュージアム
発行:朝日放送
テレビ朝日
博報堂DYメディアパートナーズ
制作:印象社
チラシ
2011年10月27日(木)
~2012年12月12日(日)
宮城県美術館
とんぼの本
著者:朽木ゆり子 前橋重二
発行:2011年11月25日
発行所:株式会社新潮社
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