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国立新美術館で「リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝」を観た!

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国立新美術館で「リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝」展を観てきました。 観に行ったのは10月15日、月曜日でした。リヒテンシュタインとはどこにあるのか、と聞かれても僕には答えようがありません。昨年、ルクセンブルクを旅しましたが、行ってみるまでは、まったくどんな国なのか知りませんでした。リヒテンシュタインは、スイスとオーストリアに抱かれたヨーロッパの小国、国家元首である侯爵家が、約3万点といわれる世界有数の美術コレクションを築き上げてきました。


侯爵家のコレクションは長い間かつての拠点であるウィーンにありましたが、第2次世界大戦後、侯爵家の居城であるファドゥーツ城に移しました。その後は秘蔵に近く、2004年になってウィーンの「夏の離宮」で公開されるようになったという。離宮は、18世紀初頭に侯爵家の避暑用の住まいとしてつくられた荘厳なバロック様式の宮殿です。ここに展示されている作品群が、今回日本で公開されているものです。


「バロック」というと、黒川記章が若尾文子に「あなたはバロックのような人だ」と言ったという話しを思い出します。「バロック」とは、16世紀末にイタリアに発し、18世紀中頃までヨーロッパや中南米で展開した様式で、語源は「ゆがんだ真珠」を意味するポルトガル語。絵画は流麗な色彩表現やドラマチックな画面構成などを特徴とします。建築においては、建築と絵画、彫刻、ちょうどが一体となって生み出す劇的な空間を指します。より一般化されて、「過剰な」「壮大な」という意味で使われることもあります。


で、今回の展覧会の最大の特徴はというと、国立新美術館内に設けられた「バロック・サロン」でしょう。絵画や家具調度品が一堂に展示され、高さ約4mの天井に4枚の天井画が並びます。ベネチアの画家アントニオ・ベルッチによる作品で、ベルッチがリヒテンシュタイン侯爵家の年宮殿を飾る為に制作されたものです。1819年に夏の離宮の西側階段室に移されましたが、その後、このカンバス地の天井画の裏に18世紀のフレスコ画が発見されたため、2003年から取り外されていました。今回、国立新美術館で、4枚の天井画が並んだ姿で観ることができました。


展覧会の構成は、以下の通りです。(図録による)


1 リヒテンシュタイン侯爵家と美術コレクション

2 名画ギャラリー

3 クンストカンマー(芸術の部屋):美と技の部屋

4 バロックの世界


ラファエロ、ルーベンス、そしてレンブラント。16世紀ルネサンスから19世紀新古典主義までの名品が次から次へと出てきます。が、しかし、圧巻なのはやはりルーベンス、でしょう。17世紀バロック絵画の巨匠ルーベンスの作品が、なんと大小織り交ぜて10点が出されていました。昨年オランダ旅行をした時に、現地のガイドさんは「肉屋のルーベンス」と呼んでいました。言うまでもなくルーベンスは、肉感的な女性を多く描いていたからです。今回のルーベンスは、ちょっと見直しました。294×412cmもある「占いの結果を問うデキウス・ムス―『デキウス・ムス』連作より」、絵もすごいが額もすごい。8点の絵画からなるこの連作は、ルーベンスが1617年にタペストリーの手本として制作したものだという。


古い神話を主題として描いた作品、「マルスとア・シルヴィア」や「果物籠を持つサテュロスと召使いの娘」、あるいは「キリスト哀悼」や「聖母を花で飾る聖アンナ」もありますが、やはりこれ、ポスターにもなっている「クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像」でしょう。37×27cmという小さな作品ですが、描かれているのは、ルーベンスの最初の妻イサベラ・ブラントの間に生まれた5歳の長女です。クララ・セレーナは、わずか12歳でこの世を去ったという。ルーベンスは多くの弟子を使い、大きな作品を「工房作」として大量に制作していたと言われていますが、この娘の肖像画は、正真正銘すべてがルーベンスの手になる作品であることは間違いないでしょう。


「名画ギャラリー」と名付けられた展示室では、ラファエロやクラナッハのルネサンス期の作品から、バロックの名画も多数紹介されています。後半は、ビーダーマイヤーと呼ばれる19世紀の作品群も紹介されています。また「クンストカンマー(芸術の部屋)」と題されたコーナーは、超絶技巧の象牙彫刻や、モザイクを施した家具などが紹介されています。精緻な工芸品が紹介されています。


1 リヒテンシュタイン侯爵家と美術コレクション



2 名画ギャラリー










3 クンストカンマー(芸術の部屋):美と技の部屋



4 バロックの世界







「リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝」

オーストリアとスイスの間にあるリヒテンシュタイン侯国。同国の国家元首であるリヒテンシュタイン侯爵家は、優れた美術品収集こそが一族の栄誉との家訓のもと、500年以上にわたってヨーロッパ美術の名品を収集してきました。その数は3万点に及び、英国王室に次ぐ世界最大級の個人コレクションといわれています。本展では同コレクションから139点の名品を選りすぐり、日本で初めて公開します。世界屈指のルーベンス・コレクションからは、愛娘を描いた《クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像》など10点が一挙に来日。ラファエッロ、クラナッハ、レンブラント、ヴァン・ダイクをはじめとする巨匠たちの名画や、華麗な工芸品が一堂に並びます。


「国立新美術館」ホームページ


とんとん・にっき-rie1 「リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝」

図録

編集:

国立新美術館

東映事業推進部

発行:

朝日新聞社、東映

©2012-2013











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