今年の5月に格安「ソウル4日間」の旅に行ってきました。2日目の午後が自由行動の日だったので、「国立中央博物館」へ行くことに決めていました。というか、「国立中央博物館」を観ることが主な目的で、ソウル旅行に行ったという方が正確です。場所と時間を調べたら、中央博物館へ行く前に、もしかしたら「サムスン美術館」も、外観だけでも観られるかもしれない、と欲が出て、急遽サムスン美術館に立ち寄ることにしました。
明洞から地下鉄4号線に乗り、三角地で6号線に乗り換えて漢江鎮駅で下りました。韓国の地下鉄初体験でした。漢江鎮駅からサムスン美術館までは徒歩、隣駅の梨泰院にかけては大使館などが多く、インターナショナルな雰囲気で、洗練されたカフェ通りになっています。途中、案内書に出ていた「ローズ・ベーカリー」というオシャレなお店で、スコーンとコーヒーで軽く昼食。上はコム・デ・ギャルソンのお店が入っている、逆かな、コム・デ・ギャルソンのお店にローズ・ベーカリーが入っているということのようです。
「サムスン美術館 リウム(Leeum)」は、マリオ・ボッタ設計の「MUSEUM1」と、ジャン・ヌーベル設計の「MUSEUM2」、そしてレム・コールハウス設計の「サムスン児童教育文化センター」の3つの建築から成り立っています。実は、事前にほとんど調べていかなかったので、どんな美術館か観られるか楽しみにしていました。世界的な建築家の競作(共作)ということで、まとまりのある美術館エリアができているのではと期待していたのですが、あにはからんや、それぞれが個を主張した3つの建築が立ち並ぶ、協調性のまったくない、まとまりのない建築でした。眺望はいいのですが、アプローチは急勾配の道路で、それぞれの敷地の条件が悪いこともあって、ま、失敗作だったといえる建築群でした。
「MUSEUM1」(古美術館)は、青磁・白磁・古書画・仏教美術などが展示され、「MUSEUM2」(現代美術館)は、韓国近現代美術、海外近現代美術、国際現代美術などが展示されています。展示作品も、イヴ・クライン、ロスコ、ウォーホル、ナムジュンパイク、ダミアン・ハースト、村上隆、奈良美智などがあるようですが、残念ながら僕は中へは入りませんでした。次、ソウルへ行ったときには、必ず訪れたいと思っています。聞くところによると、マリオ・ボッタ棟のインテリアがすごくいいそうです。児童教育文化センターの床には宮嶋達男の発光ダイオード作品が埋め込まれていました。見晴らしのよいテラスには、東京・六本木ヒルズにあるものと同じ、ルイーズ・ブルジョアの「ママン」と名づけられた蜘蛛があります。
「サムスン児童教育文化センター」レム・コールハウス設計
「MUSEUM1」マリオ・ボッタ設計
「MUSEUM2」ジャン・ヌーベル設計
「サムスン美術館リウム」パンフレットより
ソウルの都心、漢江を見下ろす南山のふもとに位置するサムスン美術館リウムはサムスン児童教育文化センターと合わせ3つの建物から成っており、過去・現在・未来の芸術文化が調和する文化公益空間です。スイスの建築家マリオ・ボッタ(Mario Botta)が韓国の伝統陶磁器からインスピレーションを得て設計したMUSEUM1は韓国の伝統美術を展示する古美術館であり、フランスの建築家ジャン・ヌーヴェル(Jean Nouvel)が革新的な材料とデザインで具現したMUSEUM2は現代美術の常設展示空間です。企画展示機能と教育機能を同時に担うサムスン児童教育文化センターはオランダの建築家レム・コールハース(レム・クールハース、Rem Koolhaas)が未来の芸術と文化を湛えるこの空間の性格に合わせ、実験的な演出を行ないました。この3つの建物にはそれぞれの建築家の個性を現す多用な材料と革新的な技法が使用されています。マリオ・ボッタは土と火を象徴するテラコッタ・タイルで韓国の陶磁器の美しさと、MUSEUM1が持つ堅牢な性格を形にし、ジャン・ヌーヴェルは世界で初めて錆びたステンレス・スチールとガラスを使用し、現代美術の先端性を表現しました。レム・コールハースも初めて試みる材料であるブラックコンクリートを使用し、宙に浮いているような未来的空間を実現しました。世界的建築家3人の互いに異なる個性の建物が寄り添いながら、新たな美観を作り上げているサムスン美術館リウムは過去と現在、未来をつなぐ新しい概念の複合文化空間として、建築による文化体験を提供します。