葛飾北斎は宝暦10年、江戸本所割下水の地に生まれ、嘉永2年、浅草で没しました。その北斎を小布施に招き、最晩年の傑作・祭屋台2基および岩松院に計5面の天井絵を、小布施の経済力を基盤に、描かせる困難な労をになったのが、豪商にして文化人・高井鴻山です。高井鴻山は、文化三丙寅年(1806)、小布施に生まれ、2006年に生誕200年を刻しました。
北斎館は、天井絵をおく2基の祭屋台と、長く大切に受け継がれた肉筆画をもって、昭和51年(1976)11月に開館しました。肉筆画を中心に、版本や錦絵など、北斎の画業を観ることができます。僕が小布施の北斎館を訪れたのは、今から20年前のことでした。「北斎館」は、宮本忠長の設計によるものです。
宮本忠長は1927年長野県須坂市生まれ。1951年に早稲田大学理工学部建築学科を卒業し、佐藤武夫建築事務所に勤務。1964年に郷里に戻り、1966年に宮本忠長建築設計事務所を設立しました。その後、長野県建築士会会長、日本建築士連合会会長等を歴任しています。
主な作品として、「北斎館」、「長野市立博物館」、「信州高遠美術館」、「松本市美術館」など、長野県内の主要な建築を一手に手がけています。が、しかし、やはり小布施町並修景計画が素晴らしく、建築家が「町並みづくり」に目を向けた初期の傑作だったと思います。その辺りに注目して20年前に、始めて小布施を訪れたというわけです。
北斎館・平成24年度夏の企画展
「夏の肉筆名作選」
「七十代の北斎版画」
「摺物版画の世界」
肉筆浮世絵
屋台天井絵
北斎特別展図録
2006年9月22日発行
編集・発行:財団法人北斎館
ガイド
信州・小布施―北斎と栗の里
発行日:平成2年2月28日改訂第三版
編集と発行:信州の観光研究会
(20年前に購入)
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