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「富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館」を観た!建築編

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7月11日の夕刊に、文化庁はユネスコの世界文化遺産に「富岡製糸場と絹産業遺産群」を推薦する方針を固めた、という記事が載っていました。「富岡製糸場は、日本の近代化に必要な外貨獲得のため、明治政府が1872年、養蚕が盛んだった群馬県富岡市に設立した。フランス人技術者を招き、世界トップレベルの機械製糸工場に押し上げた。1893年に民間に払い下げられ、1987年まで稼働した」と、記事にあります。



その「富岡製糸場」を見学に訪れた際に、上州富岡の駅前で、富岡製糸場までの案内地図を見ていたら、「富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館」があることが分かりました。この福沢一郎記念美術館については、世田谷にある福沢一郎記念館で聞いて、案内チラシももらっていたので、この印象的な建物にも興味が湧き起こり、建築としても是非とも観たいと思ったわけです。設計は柳沢孝彦+TAK建築・都市計画研究所です。


柳澤孝彦(1935年 - )は、長野県松本市出身。東京芸術大学建築科を卒業後、竹中工務店・設計部入社。東京本店設計部長を務め、1986年の「新国立劇場(当時の仮称:第二国立劇場)」国際建築設計競技で最優秀賞となったのを機に独立、同年9月TAK建築・都市計画研究所を設立しました。竹中では「国立劇場」を勝ち取った岩本博之は独立しませんでした。「箱根国際観光センター」のコンペで1等をとったやはり竹中の村瀬卯市は、独立して光亜建築計画事務所として活動し、作品集も出ているようです。柳沢は、鹿島建設の設計部にいながら「最高裁判所」のコンペを勝ち取り、独立した岡田新一と同じような経歴です。竹中出身といえば、出江寛もいました。竹中からイェールへ行って独立した早川邦彦や、竹中からハーバードへ行って独立した高垣健次郎もいました。


柳沢は、竹中では1981年に「MOA美術館」、1982年に「日蓮宗総本山身延山久遠寺大本堂」、1983年に「大手センタービル」、1984年に「有楽町マリオン」と、大規模な建築を設計しています。独立後の作品としては、1988年に「真鶴町立中川一政美術館」で吉田五十八賞を受賞します。以後、1992年に「郡山市立美術館」、1994年 に「東京都現代美術館」、そして1995年に「富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館」を設計するわけです。また1995年には「三鷹市芸術文化センター」、1997年には「新国立劇場」その横に1999年「東京オペラシティ」が完成します。やはり大規模な建築の設計が主で、「富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館」は「中川一政美術館」と同様、最も小さな規模の建築です。


建築は大きいものも小さいものも、設計するのは同じ、とはいえ、やはり得意、不得意はあります。この「福田一郎記念美術館」は、敷地としては一番悪いところをあてがわれたらしく、元々条件が悪そうです。建築としては、ややコケ脅かしめいて、あまりヒューマンな感じはしません。コンクリート打ち放しや石張りは、やはり冷たい建築です。木製の床は良かったので、その辺が残念です。内部は悪くない、特に2階レベルの中庭は囲まれた感じが静謐で悪くないし、美術館としての動線も敷地の割りにはよくできているように思います。


「富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館」という名前からお分かりの通り、施設のプログラムと建築の使われ方がフィットしているようには思えません。僕が行った時には、観客は僕らだけでした。監視人は手持ち無沙汰で、逆にこちらからすれば、ずっと後を付けられているようで、ちょっと不愉快でした。また、バスの乗りあわせが悪い。1時間に1本しかバスが走っていません。結局、行き帰りとも、タクシーを利用しました。


柳澤孝彦の最近の作品はよく知りませんが、ひょんなことから軽井沢の人工池に面したレストランを設計していることが分かりました。この美術館を観た後、向かった先が「軽井沢プリンスアウトレットショッピングプラザ」でした。「花畑牧場カフェ&ホエー豚亭」がそれです。













以下、美術館のホームページより



軽井沢のレストラン


「富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館」

富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館は、市内上黒いわ・黒川地区の丘陵地にある、もみじ平総合公園内に建設され、平成7年8月8日に開館しました。当館は美術館と博物館の両方の機能を備えており、近現代美術の重要な作家・郷土にゆかりのある作家の優れた美術作品や、富岡市と周辺諸地域の考古・歴史・民族資料を収集、展示しています。また、富岡市出身で名誉市民でもある福沢一郎伯の画業を顕彰・記念する記念美術館を併設しています。


「富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館」ホームページ


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