松岡美術館で「情熱と憂愁―パリに生きた外国人画家たち」を観てきました。 タイトルの始めに「モディリアーニ、藤田、そしてピカソ・・・」がついています。展示室⑥のPART.1は16作品、展示室⑤のPART.2は25作品が出されていました。
展示室⑥ PART.1 フォーヴィスム、キュビスムの画家たち
出品作家:ヴァラマンク、ドンゲン、マルケ、デュフィ、ロート、アーチペンコ、ピカソ、ルオー
展示室⑤ PART.2 エコール・ド・パリの画家たち
出品作家:ローランサン、藤田嗣治、モディリアーニ、キスリング、シャガール、ユトリロ、ヴァラドン、平賀亀祐、角浩
今回はなぜか気の利いたことが書けそうもない雰囲気です。まあ、いつものことですが。松岡美術館のコレクション、そこそこ質のいい作品が揃ってはいるのですが、贅沢な悩みですが、飛び抜けてこれというものが見当たりません。前回は「女性美 あなたの美神に、出会う春。」というタイトルで、日本画は目を見張るものが多数ありましたが、油彩画は評価の定まっていない画家たちの作品が多く、それはそれで面白かったのですが、やはり目玉がないように思いました。展示室⑥では初めて観ましたが、たくさんの近代彫刻が出されていて、こんなコレクションがあったのかと驚きました。
さて今回は「情熱と憂愁―パリに生きた外国人画家たち」です。多くの画家のモデルを務め、その後画家となったヴァラドンはフランス人だと思うし、その息子ユトリロは、パリで生まれているので、当然フランス人だと思います。ローランサンはやはりパリで私生児として生まれているので、フランス人でしょう。ヴァラマンクもフランス人です。そうなると「パリに生きた外国人画家たち」という“くくり”が、ちょっと疑問になってきますが、ほかに意味があるのかどうか分かりません。
ヴァラマンクと言えば、佐伯祐三の話です。佐伯は里見に同行しヴァラマンクを訪問します。その出会いは鮮烈でした。フォーヴィズムの巨匠ヴァラマンクは、佐伯が持参した自作の「裸婦」をみるやいなや「このアカデミック!」と一括したという話は、つとに知られています。佐伯もヴァラマンクもパリでは同じ外国人画家です。藤田嗣治、一度見たらあのおかっぱアタマの風貌は忘れられません。パリで生きるために、突っ張った精一杯の自己表現だったのでしょう。
今回初めて日本人画家たちの作品が出ていました。角浩は2作品、これは力作です。調べてみると角浩(1909-1994)は、明治42年10月17日生まれ。昭和12-14年フランス留学。サロン-デ-チュイルリーなどに出品。戦後は新制作派協会展に出品し,28年会員となる。ペインティングナイフをつかった独特の技法をもちい幻想的画風をきずいた。平成6年3月30日死去。84歳。広島県出身。東京美術学校(現東京芸大)卒。とありました。ほかに平賀亀祐と参考出展として高野三三男の作品が出ていました。
PART.1 フォーヴィスム、キュビスムの画家たち
PART.2 エコール・ド・パリの画家たち
「情熱と憂愁―パリに生きた外国人画家たち」
フランスの首都であるパリは、古くから独自の文化や芸術をもった歴史ある都市(まち)です。1900年初頭になると、世界各国から数多くの芸術を志す若者が、この都に集まりはじめました。フォーヴィスム(野獣派)、キュビスム(立体派)、そしてシュルレアリスム(超現実主義)など、新たな美術様式が誕生していたこの地に目を向けた世界中の若者たち。エコール・ド・パリ(パリ派)の画家と呼ばれる彼らは、1920年代を中心に活躍し、いかなる流派にも所属せずに、それぞれが自らの作風を求め模索していました。また貧しい異邦人であった彼らは、モンマルトルやモンパルナスの共同アトリエを拠点とし、疎外感を埋めるように制作に打ち込みました。故郷を懐かしみつつも、この異国の地で様々な芸術運動に影響を受け、一人一人が個性的な作品を多数生み出したのです。外国人居留地で知られる築地の明石町近くに生まれ、子どもの頃から英語に親しんでいた松岡清次郎は、国内だけでなく海外のオークションにも一人で出向いたそうです。異国でも自身の審美眼を信じ、自身の目で様々な美術品を選びぬいた彼の姿は、エコール・ド・パリの画家たちと相通ずるのかもしれません。今展では当館所蔵のフランス近代絵画の中から、モディリアーニ、キスリング、ユトリロなどのエコール・ド・パリの画家たちと、ヴラマンクやピカソなど同時期にパリで発生した美術様式であるフォーヴィスム、キュビスムに属する画家たちの個性溢れる作品を一堂に会し、展観いたします。
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