新城道彦の「朝鮮半島の歴史 政争と外患の六百年」(新潮選書:2023年6月20日発行、2023年11月15日3刷)を読みました。
購入したのは2023年、読み始めるのに時間がかかったし、読み始めてからも時間がかかりました。
第45回サントリー学芸賞
(思想・歴史部門)受賞!
「苛烈な党派争い」と「地政学的要因」から
特異な政治力学を読み解く<決定的な通史>
韓流ドラマでは分からない「歴史の深層」を解き明かす!
ソウルの独立門は、日本ではなく清からの独立を意味して建てられた――
そんな基本的な事実すら日本や韓国で知られていないのはなぜか。気鋭の研究者が、朝鮮王朝の建国から南北分断に至る長い道のりを、国内の政治闘争と周辺国のパワーバランスに着目して描き、朝鮮特有の政治力学の因果を浮き彫りにする決定的な通史。
1948年に北緯三十八度線を境にして朝鮮半島の南側に大韓民国(韓国)、北側に朝鮮民主主義共和国(北朝鮮)が誕生した。それから二年後に朝鮮戦争が勃発し、1953年に休戦協定を締結することによって両国の間には北緯三十八度線から斜めにずれた形で軍事境界線が引かれた。
本書の目的は朝鮮半島が分断に至った歴史を叙述することにある。
朝鮮半島は周辺国の存亡を握る緩衝地帯としてあり続けた。そこは、各国の思惑がぶつかり合う渦巻の中心ともいえる。そうした渦巻は極東だけに生じるものではない。それゆえ、朝鮮半島の歴史を知ることは世界の趨勢を理解する助けになると思う。
先学も納得した充実の読み応え!
朝鮮王朝史を俯瞰し、朝鮮半島の独特の「政治の磁場」を浮き彫りにすると同時に、日本外交の在り方をも考えさせる内容になっている。
――慶應義塾大学名誉教授小此木政夫
具体的な史実に即しつつ、手づから構築した体系に基づく叙述で、そこに味読賞翫の価値がある。ありそうでなかった待望の通史である。
――京都府立大学教授岡田隆司
新城道彦:
1978年、愛知県生まれ。九州大学大学院比較社会文化学府博士後期課程単位取得退学。博士(比較社会文化)。長崎県立大学非常勤講師、九州大学韓国研究センター助教、新潟大学大学院現代社会文化研究科助教などを経て、現在、フェリス女学院大学国際交流学部教授。専攻は東アジア近代史。単著に「天皇の王公族の創設と帝国の葛藤―」、「朝鮮王公族―帝国日本の準皇族―」(山本七平賞推薦賞)、共著に「知りたくなる韓国」など。