千葉市美術館で「岡本秋暉 百花百鳥に挑んだ江戸の絵師」を観てきました。
岡本秋暉(1807-62)は、濃厚華麗な花鳥画、とりわけ孔雀の名手として名を馳せた江戸後期の画人です。彫金家・石黒家の次男として生まれた秋暉は、南蘋派の大西圭斉に画を学び、20代には既に絵師として活躍していました。一方で小田原藩・大久保家に仕える藩士としての顔を持ち、江戸藩邸に勤めながら精力的に制作を続け、同時期に活躍した渡辺崋山や椿椿山らと親交を結びました。
彼が最も得意としたのは鳥の図です。懇意の小鳥店に通い写生に励んだという逸話もあるほど、鳥の描写をひたすらに研ぎ澄まし、透明感溢れる華やかな色彩と、羽の美しさを描き尽くす驚異的な技巧で江戸の人々を魅了しました。
実に18年ぶりの回顧展となる本展では、世界一の秋暉コレクションを擁する摘水軒記念文化振興財団の所蔵品を中心に、約100点の作品で、生い立ちから画業を通覧します。細緻を尽くす花鳥画から、藩主の御殿を飾った杉戸絵、小田原が誇る偉人の肖像画(二宮尊徳坐像)(報徳博物館蔵)まで。その作品群からは、自らを花鳥の画家として認識して技量を磨きながら藩士としての任も果たし、さらに同時代の画家たちの活動に目配りしながら中国画の摂取に努める、堅実な画人の姿が浮かび上がります。彼が生涯かけて紡ぎ出した鮮やかな花鳥の楽園を、どうぞご堪能ください。
展覧会の構成は、以下の通りです。
第1章 若き日の秋暉――画業の始まり
第2章 二宮尊徳像と藩主御殿杉戸絵
第3章 花鳥画家 秋暉――技巧技巧の洗練と交友
第4章 「秋暉老人」愉しむ――円熟期・画作の広がり
ここでは第1章と第2章をその1として、以下に載せます。
第1章 若き日の秋暉――画業の始まり
第2章 二宮尊徳像と藩主御殿杉戸絵
第3章、第4章は、その2に載せます。
「岡本秋暉 百花百鳥に挑んだ江戸の絵師」
――摘水軒コレクションを中心に
図録
編集:松岡まり江(千葉市美術館)
発行:千葉市美術館
発行日:2024年6月28日
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