佐藤俊樹の「社会学の新地平―ウェーバーからルーマンへ」(岩波新書:2023年11月17日第1刷発行)を読みました。
マックス・ウェーバーとニクラス・ルーマン――
産業社会の謎に挑んだふたりの社会学の巨人。
彼らが遺した知的遺産を読み解く。
マックス・ウェーバーとニクラス・ルーマン――科学技術と資本主義によって規定された産業社会の謎に挑んだふたりの社会学の巨人。難解で知られる彼らが遺した知的遺産を読み解くことで、私たちが生きる「この」「社会」とは何なのかという問いを更新する。社会学の到達点であり、その本質を濃縮した著者渾身の大作。
この二人の社会学者が偉大なのは、「合理的組織」が何なのかを、私たちが本当はよく知らないことを知って、逃げずに考えつづけたところにある。そして今も、その探求は途上にある。何よりもそういう意味で、二人の社会学は未来にひらかれている。(終章より)
目次
序 章 現代社会学の生成と展開
一 二人の学者と二つの論考
二 ウェーバー像の転換
第一章 「資本主義の精神」再訪──始まりの物語から
一 ウェーバー家と産業社会
二 二つの戦略ともう一つの資本主義
三 「禁欲倫理」の謎解き
四 会社と社会
第二章 社会の比較分析──因果の緯糸と経糸
一 研究の全体像を探る
二 会社制度の社会経済学
第三章 組織と意味のシステム──二一世紀の社会科学へ
一 「合理的組織」の社会学
二 組織システムへの転回
三 決定の自己産出と禁欲倫理
四 ウェーバーとルーマンの交差──因果と意味
終 章 百年の環
あとがき
ウェーバーの主要な著作・論文の年譜
佐藤俊樹:
1963年生まれ.東京大学大学院社会学研究科博士課程退学.博士(社会学).東京大学大学院総合文化研究科教授.比較社会学,日本社会論.
著書に『近代・組織・資本主義──日本と西欧における近代の地平』,『社会学の方法──その歴史と構造』(以上,ミネルヴァ書房),『意味とシステム──ルーマンをめぐる理論社会学的探究』(勁草書房),『社会は情報化の夢を見る──[新世紀版]ノイマンの夢・近代の欲望』(河出文庫),『格差ゲームの時代』(中公文庫),『不平等社会日本──さよなら総中流』(中公新書),『桜が創った「日本」──ソメイヨシノ起源への旅』(岩波新書),『社会科学と因果分析──ウェーバーの方法論から知の現在へ』(岩波書店),『メディアと社会の連環──ルーマンの経験的システム論から』(東京大学出版会)など.