ルーマニア出身の彫刻家、コンスタンティン・ブランクーシ(1876-1957)は、純粋なフォルムの探究を通じて、ロダン以後の20世紀彫刻の領野を切り拓いた存在として知られます。本展は、彫刻作品を中核に、フレスコ、テンペラなどの絵画作品やドローイング、写真作品などが織りなす、ブランクーシの創作活動の全体を美術館で紹介する、日本で初めての機会となります。ブランクーシ・エステートおよび国内外の美術館等より借用の彫刻作品約20点に、絵画作品、写真作品を加えた、計約90点で構成されます。
日本の美術館で開催される初のブランクーシ展
20世紀彫刻を代表する作家としてブランクーシの名は知られながらも、その彫刻作品を主体とする大規模な展覧会は、これまで日本の美術館で開催されておらず、本展が初めての機会にあたります。
初期から後半期まで、訳20点の彫刻作品が国内外より集結
アカデミックな写実性やロダンの影響をとどめた初期から、対象のフォルムをそのエッセンスへと還元させていく1910年代、そして、「鳥」に代表される主題の抽象化が進められる 1920年代以降の時期まで、彫刻家ブランクーシの歩みをうかがうことのできる充実した展観が実現します。
創作者としての多面的な側面を提示
本展では、ブランクーシによる絵画作品や写真作品も紹介します。一貫して彫刻を創作の核に据えながらも、異なる手法でそれを相対化していく横断的なアプローチは、近代的なものといえます。他方、彫刻作品にみられる、素材の性質への鋭敏な意識は職人的といえるもので、こうした創作者としての多面性にも光が当てられます。
コンスタンティン・ブランクーシ
「ブランクーシ 本質を象る」
6-「王妃X」1915-16年(2016年鋳造)
14-「若い男のトルソ」1924年(2017年鋳造)
16-「ポガニー嬢Ⅱ」1925年(2006年鋳造)
22-「肖像」1930年
23-「洗練された若い女性(ナンシー・キュナールの肖像)
1928-32年(2013年)鋳造
「アーティゾン美術館」ホームページ
アーティゾン美術館 Artizon Museum, Tokyo
朝日新聞:2024年6月11日